新型コロナウイルス一日新規感染者数が26万人を上回って過去最多を記録した日、韓国政府が防疫措置を追加緩和した。大統領選挙が目前というタイミングでの防疫措置緩和に対して「政治防疫だ」と批判の声が再び上がっている。

 疾病管理庁は4日午前0時時点の一日新規感染者が26万6771人だったと発表した。死亡者も186人で前日に続き二日連続で過去最多を記録し、この二日間で約2倍になった。自宅療養者は92万5662人まで増えていて、100万人突破は時間の問題だとみられている。感染者数をはじめとする各種防疫指標は政府の当初予想を超えて悪化している。

 それでも政府は同日、「私的な集まりは6人、飲食店・カフェなどの営業は午後10時まで」という現行の防疫措置を「営業は午後11時まで」に緩和した。「自営業者・小規模事業主たちの苦境がさらに増していることを考慮した」という説明だ。「午後11時までの営業時間」は5日から適用され、ひとまず20日まで続けられる。

 政府は先月18日、営業時間制限を午後9時までから10時までに緩和した際、その適用期間を今月13日までとした。ただし、「それ以前に流行が減少傾向に転じれば緩和する可能性があり、危機が続けば強化する可能性もある」ということだった。また、「大統領選挙時の自営業者の票を意識した緩和措置」という見方を考慮してか、「次の防疫措置調整は大統領選挙(3月9日)が終わった後に行う」とも言っていた。

 ところが、政府は4日、この二つの「公言」とも「食言(約束を破ること)」にしてしまった。先月18日に10万人台だった一日新規感染者数は同日26万人にまで増えた。つまり、「危機が続けば(防疫措置を)強化する」に該当する。だが、実際には緩和した。逆を行ったということだ。日本・台湾・英国など韓国より先にオミクロン株が広がって感染者急増を経験したほかの国々では流行がピークに達するまで防疫措置緩和を見送ったことを考えると、理解しがたい行動だ。「次の防疫措置調整は大統領選挙が終わった後に行う」という部分も守らなかった。一部の防疫専門家らが「政治防疫だ」と言うのも無理はない。

 中央災難(災害)安全対策本部の李基日(イ・ギイル)第1統制官は「疾病管理庁と韓国科学技術研究院(KIST)調査の結果、営業時間を緩和しても(感染者増加に及ぼす)影響は10%以内」「その程度なら今の医療対応体制で耐えられる」と述べた。だが、防疫現場の不安は日々増している。この1週間の死亡者増加率は59.4%(国際統計サイト「アワー・ワールド・イン・データ〈Our World in Data〉)で、経済協力開発機構(OECD)38カ国のうち、人口が1000万人未満のニュージーランド・オランダ・スロバキアを除けば1位だ。嘉泉大学医学部予防医学科のチョン・ジェフン教授は「政府が防疫指針を次々と緩和しているため感染者が増え、これにより重症者数が増え続けている」「今後、流行のピークはさらに早まり、感染者数も10%以上増えるだろう」と語った。

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