ユン・ソクヨル(尹錫悦)第20代大統領が、この5年間で崩れ落ちた社会各分野の過ちを立て直す責任は重大である。山積みしている地球規模の問題解決とグローバルガバナンス構築の先導的役割はもちろん、韓国外交の地位を一段階アップグレードさせなければならない。

中国が韓国を見下しているのは、外交政策が堂々としていなかったからだろう。中国の経済制裁に屈服して約束した三不政策は、主権を放棄したのも同然だ。中国のTHAAD撤廃要求には、先に北の核問題の解決を要求すべきで、経済制裁にはWTOへの提訴を通じて解決するという堂々たる態度をとっていれば、中国が今のように韓国を見下すことはできなかったはずだ。最近のロシアのウクライナ侵攻時にも、無原則に右往左往してロシアへの制裁に遅れて参加したため、ロシアからは非友好国の烙印を押され、アメリカの信頼もエラれなかった。これまで北の核問題が北韓(北朝鮮)の非核化に焦点を合わせていたなら、今後は非核化とともに北韓の核兵器の対処案まで設けなければならない。

ロシアのウクライナ侵攻は、キム・ヂョンウン(金正恩)の自発的な核放棄に否定的な影響を及ぼすこともあり得る。したがって北韓の非核化のためには、より強力な人参(ウクライナの安全保障を約束するブダペスト覚書を上回る安全保障の約束と莫大な経済的インセンティブ)と、より強い鞭(制裁)を備えるべきである。北韓の核兵器に対しては、冷戦時代の米ソ間の相互確証破壊(MAD)以上の確実な抑止力を確保すべきである。

北の核に対する抑止力を確保するには、アメリカの拡張抑止力の強化が必須である。アメリカとは血盟以上の自由民主主義と市場経済、人権などの価値を共有する包括的価値同盟に発展させなければならない。これのためには4か国の協議体であるQuad(クアッド)と、5か国の情報共有同盟であるFive Eyesに積極的に参加して、これまで縮小ないし延期されていた韓米連合軍事訓練も早期に再開すべきである。未来志向的な韓日関係の構築も急務である。ムン・ヂェイン(文在寅)政権下の韓日関係の悪化は、慰安婦問題や強制徴用工問題などの歴史問題をめぐる対立が根本的な原因だが、政府が国内の政治向けにこれを利用した面が強い。

ユン次期大統領が歴史問題に没頭せず、キム・デヂュン(金大中)小渕宣言を基に未来志向的な韓日関係構築の意志を表明したのは、良い舵取りである。アメリカのバイデン政権が先月に発表したインド太平洋戦略報告書は、韓日関係改善を今後の1〜2年以内に追求すべき核心的なアクションプランとして提示した。これは韓日関係が単なる両国関係だけでなく、アメリカのグローバル戦略の一つであることを物語っている。 新政権は人権や気候変動、環境、軍縮、パンデミックなど、全地球規模の問題解決とグローバルガバナンスの構築に先導的役割をすることで、韓国外交の地位を一段階アップグレードさせなければならない。

崩れ落ちた韓日関係の復元は、早ければ早いほどいい。ウリたちの願いは統一ではないか。韓半島(朝鮮半島)の平和のためにも、韓米日の交流は発展的に活発でなければならない。特に韓日間の関係が復元されれば、両国が推進中の海底トンネルの開設が繰り上がる可能性もあり得る。ユン・ソクヨル政権の素早い外交政策を期待する理由がここにある。

ソース:慶北新聞(韓国語)
http://www.kbsm.net/news/view.php?idx=342487