毎日新聞と社会調査研究センターは19日、全国世論調査を実施した。ロシアがウクライナに軍事侵攻したことで、日本の安全保障が脅かされる不安を感じるかと尋ねたところ、「強い不安を感じる」は46%、「ある程度の不安は感じる」は41%で、合わせて87%が不安を感じていた。「あまり不安は感じない」は8%、「特に不安は感じない」は3%、「わからない」は1%だった。

日本政府がロシアに経済制裁を科したことについては、「妥当だ」との回答は59%で、「もっと強い制裁を科すべきだ」が30%だった。「制裁は必要ない」も5%あった。日本はロシアへの制裁として、プーチン大統領ら個人やロシア中央銀行などの団体の資産凍結、半導体や通信機器などの禁輸のほか、世界貿易機関(WTO)の規定に基づく貿易上の優遇措置「最恵国待遇」からのロシアの排除などを実施している。

 ◇防衛装備品提供「妥当」は61%

 日本政府がウクライナに防弾チョッキなどを提供したことについては、「妥当だ」が61%に上った。「もっと積極的な軍事支援を検討すべきだ」は22%で、「軍事支援は必要ない」は11%だった。日本政府は防衛装備品である防弾チョッキをウクライナに提供するため、「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定し、ヘルメットなどと共に現地へ輸送した。殺傷能力のない装備品に限りウクライナへ供与可能だと指針に明記したが、交戦中の国に装備品を提供するのは異例だ。

 中国が台湾に軍事侵攻する不安を感じるかとの質問では、「強い不安を感じる」が56%、「ある程度の不安は感じる」は33%で、合計で89%が不安を感じていた。国際法を無視したロシアの侵略行為を受けて、中国が統一を目指す台湾への侵攻を仕掛けるのではないかとの警戒感が強まっているようだ。「あまり不安は感じない」は6%、「特に不安は感じない」は2%、「わからない」は2%だった。

 ◇「核共有の議論を」57%

 米国の核兵器を日本に配備して共同運用する「核共有」の議論を求める意見が上がっていることについても聞いた。「議論すべきだ」は57%で、「議論すべきではない」の32%を上回った。「わからない」は10%だった。核共有の導入については安倍晋三元首相が、ウクライナが過去に核兵器を放棄したことにも触れて、議論の必要性に言及した。岸田文雄首相は「政府として議論することは考えていない」と否定している。

 ◇内閣支持率は48%で微増

 岸田内閣の支持率は48%で、2月19日の前回調査の45%から3ポイント増えた。不支持率は38%で、前回(46%)から8ポイント減少した。

 政党支持率は、自民党34%(前回35%)▽日本維新の会12%(同16%)▽立憲民主党9%(同8%)▽国民民主党4%(同4%)▽共産党3%(同4%)▽公明党2%(同3%)▽れいわ新選組2%(同3%)――などで、「支持政党はない」と答えた無党派層は30%(同25%)だった。

 夏の参院選の比例代表で、どの政党に投票したいか聞いたところ、最も多かったのは自民党で31%(前回31%)だった。以下、日本維新の会14%(同19%)▽立憲民主党12%(同9%)▽国民民主党5%(同4%)▽共産党4%(同5%)▽れいわ新選組3%(同4%)▽公明党2%(同3%)▽NHK受信料を支払わない国民を守る党1%(同1%)――などとなった。「わからない」は25%(同20%)だった。

 調査は、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯718件・固定322件の有効回答を得た。【伊藤奈々恵】

https://news.yahoo.co.jp/articles/1fe1f93d51d43da9a561a00cfeb5cfe5acde4277