ポケモン、ウルトラマン、ガンダム… おもちゃに夢中になる中国の大人たち

蘭州市で展示された、16万5千個のブロックで作られた嘉峪関城楼(2020年7月31日撮影、資料写真)。
https://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/8/f/810wm/img_8f6883c563c760665500b1e3d18dbf52258648.jpg

【6月14日 東方新報】中国のケンタッキーフライドチキン(KFC)が6月1日の児童節(こどもの日)に向けて、「ポケットモンスター(ポケモン、Pokemon)」のおもちゃを付けた子ども向けセットを69元(約1370円)で5月下旬から販売したところ、中国各地の店舗に大人が殺到した。

ポケモンを代表する「ピカチュウ(Pikachu)」のおもちゃセットもあるが、最も人気が高かったのが、アヒルをモチーフにしたポケモン「コダック(Psyduck)」のおもちゃ。音楽に合わせて左右の羽根を動かすダンスが人々の心に刺さり、あっという間に売り切れとなった。小さな子どもを連れた母親がコダックを求めてKFCの店舗を何軒も周り、おなかをすかした子どもが「いつになったら食べられるの?」と嘆くといった、笑えない光景も見られた。

中国では、子どもの頃に好きだったキャラクターを大人になって買い求める人が増えている。毎年6月18日に行われる中国最大級のオンラインセール「618商戦」で、今年は先行販売の5月26日時点でウルトラマンのおもちゃが200万個、ゴジラ(Godzilla)のおもちゃが100万個以上も売れた。購入しているのは80後(1980年代生まれ)、90後(1990年代生まれ)の消費者という。

海南省(Hainan)に住む38歳の袁師(Yuan Shi)さんは、高さ1メートルのガンダム(Gundam)ロボットを購入した。自宅にはガンダムやトランスフォーマー(Transformers)、アイアンマン(Iron Man)のおもちゃがところ狭しと並んでいる。「私たちの子どものころに比べて、今のおもちゃは非常に精緻な仕上がりです。私は今ではそれなりに収入はあるので、結構おもちゃに金を注ぎ込んじゃってます」と笑う。

大人向けのブロックおもちゃの売り上げも増えている。95後(1990年代後半生まれ)の若者が6514個のブロックを使い、往年の人気時代劇ドラマ『武林外伝』に登場する食堂兼宿屋「同福客桟」を再現。インターネットで投稿すると「懐かしい」「見事な再現力だ」と人気の検索ワードとなった。

こうしたブロックの多くは「中国玩具の都」といわれる広東省(Guangdong)汕頭市(Shantou)澄海区(Chenghai)で作られている。多くの工場は海外有名ブランドのブロックを下請けで作っているが、最近は中国文化を反映したオリジナルのブロック製造が増加。おもちゃ産業のグレードアップにもつながっている。

中国では経済成長に伴い平均的な勤め人の消費力が高まり、趣味にお金をかけることは「悦己経済(自分を喜ばせる経済)」と言われている。また、コロナ禍によりステイホームを余儀なくされ、自宅で消費を楽しむ「宅経済(おうち経済)」も発達。大人の間のおもちゃブームはまさに悦己経済と宅経済の象徴といえる。(c)東方新報/AFPBB News

https://www.afpbb.com/articles/-/3409709