中国メディアの中国新聞社は5日付で、韓国では野菜価格が高騰しており、1日で50%も上昇する場合があると紹介する記事を掲載した。飲食店経営者は対応に苦しんでいるという。中央銀がインフレ対策として金利を引き上げたところ、不動産価格が暴落し、成約件数は激減した。

■コロナの悪影響緩和したと思ったら食材価格高騰で利益を圧縮

韓国の中国人業者団体の中華総商会の会長を務める宋国平さんによると、野菜価格が前日比で5割も上昇したことがあった。果物価格も20%-50%上昇したことがあった。宋氏は本業としてがんリハビリセンターを経営しているが、放射線治療や化学療法を受けている患者には、適切な栄養を摂取してもらう必要がある。食材価格は乱高下してきたが全体としては高騰しており、かつては中国元換算で1食分のコストは20元(約400円)だったが、現在は30元(約600円)という。

畢徳玲さんは10年前に中国から韓国に移り、現在はソウル市内で中華料理店2軒を営んでいる。飲食店の場合、値上げが客離れに直結する場合がある。そのため、当初は値上げをしなかったが、仕入れ価格が以前のように低水準になることはないと判断して、セットものの価格を引き上げたという。

飲食業は新型コロナウイルス感染症で大きな打撃を受けた。畢さんによると、今年6月までは1、2年前と比べれば利益を出せていたが、その後は30%減程度の状況になった。野菜だけでなく、1年前は150元(約3000円)だった10キロ入りの食用油は、現在は320元(約6400円)の状態という。

韓国統計庁によると、同国の7月消費者物価指数(CPI)は前年同月比で6.3%上昇した。上昇率は1998年11月以来の高さだったという。また飲食業を含む個人向けサービスの価格は前年同月比で6%上昇した。韓国中央銀行である韓国銀行の統計調査チーム関係者によると、CPIの高い上昇率の改善は2022年下半期も見込めないという。

■若者の間では「支出ゼロへの挑戦」の風潮

物価高騰に対して、韓国の若者の間では「支出ゼロへの挑戦」という風潮が広がっている。衣服であれ日用品であれ、どうしても入手する必要を感じた場合でも新品は買わず、中古品取扱いのプラットフォームで物々交換をする場合が多い。

生計の足しにするためにアルバイトをする留学生の場合には、時給が上昇している。しかし出費を減らすために、割引商品を探すために時間を費やしてしまうという。

韓国銀行は8月1日に国会に提出したリポートで、利上げを続けることでインフレを抑制する必要があると強調した。韓国銀行は新型コロナウイルス感染症により景気が落ち込んだことを受け、一時はゼロ金利などの刺激策を採用していた。しかし22年7月末までに、基準金利を2.25%にまで引き上げた。

■インフレ抑制を狙って利上げした結果、不動産市場が「冬の時代」に

韓国では昨年から今年の早い時期にかけては住宅価格が急上昇し、同時に不動産市場は活況を見せていた。市場の“熱気”に刺激され、多額の借金をしてでも物件を購入しようとする風潮が発生した。しかし、基準金利の値上がりに伴い住宅ローンなどの金利も上昇したために、不動産物件購入意欲は大きく削がれたという。

ソウル市内の住宅価格は6月27日時点で、年初比0.19%下落した。7月18日(月)に始まる週には26カ月ぶりの大幅な下落率を記録した。一方で、6月における成約件数は前年同月比73%低下した。値引きをしても売れない分譲マンションが増えており、ソウル市内で売り出された新築マンションでは、物件の半数近くが売れ残っているケースがあるという。

韓国政府は低迷する住宅市場の活性化を狙い、集合住宅所有については、4年間に渡り適用されてきた重課税率を撤廃した。(翻訳・編集/如月隼人)

https://www.recordchina.co.jp/b899068-s39-c30-d0198.html