「海物語事態」の再来か、パチンコ非合法の韓国で登場したオンラインパチンコ
1兆円規模と目されるソーシャルカジノゲーム市場、業界は規制緩和を求めるが

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

筆者がスマートフォンでネットサーフィンをしていた時、「エルドラド」というオンラインパチンコの広告が韓国語で出てきた。エルドラドのブラウザゲームは2021年10月14日に提供が開始されたようだが、韓国でオフラインのパチンコは非合法である。広告には「世界最初」「すぐに換金可能なオンラインパチンコ・スロットホール」と書かれている。

会員登録したあと、エルドラドにログインをしてアバターを選択すれば、アバターが自身に代わってパチンコ・スロットを打ってくれるという仕組みだ。

1.ブラウザゲーム
2.いつでもどこでもプレイ可能
3.クレジットカードで入金可能
4.すぐに出金可能
5.カジノライセンス取得
6.高還元率
7.安全なセキュリティ

これら7項目がエルドラドの売りとして広告に出ていた。

エルドラドの公式サイトを覗いてみたところ、「よく耳にする海外の"オンラインカジノ"の代わり、日本人に馴染みのある"パチンコ&スロット台"。こだわりのアプリでパチンコのようなドキドキ感が味わえる新しいオンラインエンターテイメントです」と紹介されていた。

先ほどご紹介した「5.カジノライセンス取得」とは、フィリピンのPAGCORのオンラインカジノライセンスを取得したことを指している。PAGCORとは、フィリピン政府が所有・運用している大統領直下のゲーミング管理公社だ。

韓国でゲームを提供するのにわざわざフィリピンのライセンスを取得しても関係ないと思うのだが、「大統領直下のゲーミング管理公社」というブランドを使って、顧客獲得を狙っているようだ。

●意外に多いパチンコ好きの韓国人
冒頭で述べたように、韓国でオフラインのパチンコは非合法である。その代わり、韓国には「メダルチギ」というカジノのスロットマシーンを模写した娯楽がある。「韓国版パチンコ」とも言われ、内部に設置された電子機器プログラムによって当たり抽選を行うことと、中央に液晶画面を配した筐体で機体が構成されている点が日本のパチンコと似ている。

2006年までメダルチギ店の営業が認められていたが、法律の改定によって同年秋には換金、同年12月31日をもって合法的な営業そのものが禁止された。ただ、今でも看板を外して密かに営業を続けている店や、ゲームセンターに名目上転業したうえで、新たな景品買い取りの仕組みを導入し、実質的に同業態で営業している店が少なくない。

韓国では、こういった成人向けゲームセンターの方が一般のゲームセンターよりも多いと言われているほどだ。

日本人にも同じことが言えるが、韓国人は賭博にのめり込みやすい傾向にある。

韓国メディアの日曜時事新聞社が8月8日に公開した記事「<ルポ>24時間稼働する『賭博ヘルパー室』の実態」では、共に民主党の?永煥(オ・ヨンファン)議員が、健康保険審査評価院から提出された資料を元に、「賭博依存で治療を受けた満10?19歳の青少年は2018年の65人から2020年の98人に約50%も増加した」と指摘したことが紹介されていた。

非合法であるとはいえ、幼い頃から賭博に慣れ親しむ環境が韓国にはあるのだ。その代表的な例は花札だろう。

2016年にはお笑い芸人出身の映画監督、沈炯來(シム・ヒョンレ)氏が東京・赤坂にあるパチンコ店に数カ月入り浸り、パチンコ依存になっている様子が韓国メディアによって伝えられ、韓国社会に衝撃を与えたこともあった。海外で打っているとはいえ、世間に与えるイメージは相当悪かったようだ。

余談だが、本人は「パチンコプログラム開発の一環だ」と世間に釈明した。

昔ほど多くないが、日本にやってくる韓国人男性の中には今もパチンコ店を訪れることを楽しみにしている人が少なくない。日本にステイするパイロットの中には、パチンコ店で暇を潰す人もいる。

韓国にはない娯楽なので、日本に行ったら「やらなければならない」という衝動に駆られるようだ。筆者の友人の中にも日本でパチンコをやった人は多いし、日本に行けばやってみたいと話す人が多い。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71372
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