15日に発生した初の「カカオ不通」事態は、特定の通信プラットフォームに依存する社会の弊害をまざまざと見せつけた。IT専門家は「インターネットサービスを独占するプラットフォーム企業で生じた問題が国民全体をブラックアウトに陥れることをはっきりと示した事件だ」と指摘した。

■カカオだけでなく政府サービスも不通

 韓国ではメッセンジャーアプリ「カカオトーク」のユーザーが5000万人いるほか、決済アプリ「カカオペイ」を3700万人、本人認証サービス「カカオ認証書」を3300万人、配車サービスの「カカオT」を3000万人がそれぞれ利用している。

 カカオの不通事態は単にカカオが提供する20種類余りのサービスが止まるだけでは済まなかった。カカオの地図、本人認証(ログイン)、決済システムなどを利用する他の企業、政府機関も広く被害を受けた。国内最大の仮想通貨取引所アップビットはログイン方法にカカオトークとアップルアカウントという2つの方式だけを採用しており、相当数のユーザーが15日午後から仮想通貨取引ができなくなった。行政安全部が運営する「安全申聞鼓」アプリも全く作動しなかった。このサービスはユーザーの位置に基づき、違法駐停車、生活上の不便などの苦情を行政に伝える役割を果たしているが、カカオ地図と連動しているため、通報自体ができなくなった。IT業界関係者は「小さなスタートアップのみならず、ほとんどのIT大企業も地図や決済など全てのサービスを直接開発することはできない。ネイバーとカカオに主なサービスを依存しているのが現実だ」と話した。

 多くのサービスが中断すると、人々は慌ててカカオに代わるサービスを探した。メッセンジャーのLINE(ライン)、やテレグラム、配車サービスのウティやタダ、ネイバー地図などライバル企業のアプリのダウンロードが集中し、グーグルプレイやアップルのApp Storeの検索順位でそれらサービスが一斉に上位にランクされる現象が起きた。IT業界関係者は「カカオ、ネイバーによる独占現象が深刻化し、適当な競合サービスがなかったということも今回の混乱を拡大させた理由の一つだ」と指摘した。

■巨大プラットフォームけん制策が不足

 2010年にスマートフォン向けのメッセンジャーサービスでスタートしたカカオは、カカオトークが「国民的メッセンジャー」に成長すると、ポータルサイト「ダウム」を買収し、「路地商圏収奪論争」を起こし、運転代行、美容室予約に至るまでさまざまなサービスを急速に拡張してきた。現在カカオはカカオペイ(簡易決済)、カカオモビリティー(タクシー)、カカオバンク(銀行)、カカオエンターテインメント(芸能・ウェブ漫画)などの主要子会社をはじめ、合計で134社(6月現在)の系列企業を率いている。

 強大な独占的地位を利用し、市場を掌握して利益を極大化するため、主な系列企業を「分割上場」させているとの批判も相次いでいる。カカオは社内スタートアップのように新規事業を分社させて育成後、株式を上場させる系列企業育成策を固守してきた。カカオゲームズ(20年)、カカオペイ・バンク(21年)が上場する際、カカオグループの時価総額は120兆ウォン(約12兆4000億円)を超え、バラ色の未来を描いたが、その後は「中核事業を分割上場させたため、カカオ株主が被害を受ける」との批判が出始めた。世界的な景気低迷も重なり、カカオグループの時価総額は22兆ウォンまで縮小した状態だ。最近は孫会社であるゲーム開発会社「ライオンハート」も批判的世論を受けて上場を撤回した。

張亨泰(チャン・ヒョンテ)記者

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