韓国はキリスト教徒が多く、街には教会が目立つ国だが、ハロウィンが関心の対象になったのは近年のことだ。最初は幼稚園や小学生の英語教室などでお遊びとしてハロウィン・パーティーが広がり、それが年齢に関係なく繁華街の季節の風景になったのはこの数年のことだ。筆者の見方では日本の影響という感じが強い。

クリスマス時のクリスマス・ケーキ大売り出しやバレンタインデーのチョコレート交換など、日本ルーツで始まった宗教色抜きの商売的な季節イベントはそのまま韓国に伝わり楽しまれている。同じようにハロウィンも、近年の日本の東京・渋谷などでの若者風景が影響を与えたように思う。

日本のハロウィン人気はこの20年ほどのことで、日本的なコスプレ文化とあいまって街頭文化として定着傾向にあるが、韓国では元は米軍向けの基地の街で今も外国人が目立つ〝異国色〟の強い梨泰院(イテウォン)がハロウィンの中心になっていた。梨泰院には渋谷駅前のような広場はない。バス通りの左右の狭い路地に飲食店が密集し、そこに若者の群れが押し寄せ〝路地裏惨事〟になった。

そこで対応を怠った警察や街頭での対策に批判が集中し、渋谷警察のハロウィン対策など日本の経験が脚光を浴びている。あらためて「日本に学べ」の雰囲気である。(黒田勝弘)

https://www.sankei.com/article/20221105-SU52ICCRTRLDPBCAC5JFC5M5SI/