韓国の艦艇も7年ぶりに参加した相模湾での先日の国際観艦式を巡って奇妙な論争が起きた。韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相が国会で、観艦式で掲げられる「自衛艦旗と旭日旗は違う」と説明したところ、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の高官らから「みじめな弁解だ」と批判されたのだ。

自衛艦旗は「真ん中の丸の位置がやや傾いている」というのが李氏の言い分だが、1954年制定の自衛隊法施行令で、自衛艦旗には旭日の意匠を用いることが定められており、旭日旗の一種に違いはない。

韓国で「戦犯旗」と非難される旭日旗と別物の旗に、観艦式に参加した韓国軍関係者が敬礼しても問題ないと言いたかったようだが、無理があり過ぎた。

そもそも韓国で旭日旗が問題視されだしたのも最近の話だ。2011年にサッカーアジア杯の日韓戦で韓国選手が観客席の旭日旗に怒りを表したのが始まりとされる。左派系の金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権時代も旭日旗を掲げた日本の艦艇を拒絶したことはなく、「旭日旗イコール戦犯旗」という主張そのものが最近つくられた「虚構の歴史」といえる。

日本との安全保障協力を重視する尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、野党による「親日」非難に動じる様子がない。尹政権の国防相にも「旭日旗への非難自体が的外れだ」と反対派を正々堂々と論破してほしい。(桜井紀雄)

産経新聞
2022/11/8 07:00
https://www.sankei.com/article/20221108-UJD5FERXDZOAVD5GIWEYD4GBPE/