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この本を読めば肩にぐっと力が入る。一橋大学の野口悠紀雄名誉教授が書いた『日本が先進国から脱落する日』という本である。彼によれば、日本は『円安という麻薬に酔って改革は後回し』のせいだという。そのせいで先進国の地位まで危うくなっている。

一方、この本は韓国に対する賛辞で溢れている。嫌韓論が横行する日本では珍しいことだ。本のそこかしこに『近いうちに韓国に追い越される、20年後の韓国の1人当りのGDPは日本の2倍?多様な順位で韓国は日本より上位』という文言が際立つ。極めつけは『G7のアジア代表を日本ではなく韓国に入れ替えるという提案が出たと仮定すると、(韓国が日本をリードしているという)指標を根拠に資料を提示すれば、日本はどう答えるべきだろうか』と尋ねる。

隔世之感を否めない。為替危機や金融危機の際、韓国は日本と通貨スワップ協定を結んだ。韓国ウォンと日本円を相互交換する方式である。言葉が相互交換だけに、実際に国際通貨である円を危機非常金として確保する効果を狙った。円はドルに準ずる安全資産として通じた。国際情勢が不安になると、投資家は円を買い入れた。米国と同様、日本経済も滅んぶはずがないと考えたからである。

今年に入って『円=安全資産』の神話にひびが入った。ドル高は全ての通貨に無差別的だが、特に円は大きく揺れた。1次的原因は日本の中央銀行がマイナス金利政策を固守したことにある。米国連邦準備制度(Fed)は金利を4%まで引き上げた。韓国銀行はFedの後を追っている。だがしかし、日銀は超低金利政策を放棄する気配がない。米日の金利差による円安は避けられない。

根本的な原因は縮小する日本経済にある。円安が一時的な現象ではないということだ。コロナ禍で日本の素顔が明らかになった。野口教授は、『コロナに感染しても入院することもできず、自宅で死亡する者が続出した。PCR検査も進まず・・・、ワクチンすら外国から輸入したワクチンに頼る状況がやってきた』と嘆いた。

野口教授は日本社会に対し、危機不感症から立ち直ることを訴えている。『客観的な自分評価と謙虚こそが事態を改善するための第一歩』と言いながら、日本政府と政界を鋭く批判した。政府はどのようなことをすべきか。『新規参加を妨害する既得権層と戦い、生産性の向上を妨害する規制を緩和して撤廃すること』などをすべきだ。要するに『経済と産業構造の根幹を改革する過程が必要だ』ということ。野口教授は、『(改革に失敗すれば))日本の再生は不可能だ』と断言した。

日本の政治はどうだろう。野口教授は、『(保守であれ進歩であれ)与野党みな根本的な問題に手を付けようとしない』とし、『重要な問題は放置して、人気に迎合する金(カネ)のばらまき政策だけ一貫している』と批判した。

韓国経済は日本の後を追う傾向を見せるとよく言われる。幸いにも韓国は日本が経験した『失った20年』の泥沼には陥らなかった。日本の光栄は色褪せた。

過去のロールモデルから今では反面教師になった。だがしかし、韓国経済に対する野口教授の賛辞は過剰だ。両国政府と政界を見れば五十歩百歩ではないだろうか。あっという間に我々も日本のペアになるかもしれない。

(クァク・インチャン論説顧問)

ソース:ファイナンシャルニュース(韓国語)
https://www.fnnews.com/news/202211071759519006