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韓国の小学校の国語教科書に掲載されている昔話。

昔、山奥においしいあずきがゆを煮るばあさんが住んでいた。ある春の日、ばあさんが山のあずき畑で草取りをしていると、でっかいとらが現れた。とらは、ばあさんをすぐに食わず、あずきがゆができる冬まで待つことにした。

冬至の日、ばあさんがあずきがゆを煮ながら泣いていると、くり、すっぽん、うんちなどが次々と助力を申し出て-。

こうした弱い者が力を合わせる昔話は日本の「さるかに合戦」など世界各地にあり、比べると興味深い。日本には1月15日の小正月にあずきがゆを食べる習わしがあるが、訳者あとがきによると、韓国では冬至の日に炊いて家族で食べるほか、家の戸口などにまいた。朝鮮半島には約100年前まで虎がいたという。

本書では、ばあさんの悲しみやとらの驚きといった感情を、韓国で人気の絵本作家が人形の表情と動作で表現。人形たちとその背景となっている民家や民具などが醸し出す世界は、しみじみとした趣がある。(偕成社・1430円)

寺田理恵

産経ニュース 2022年11月13日 10時0分
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