政府・与党は、年末までに改定する国家安全保障戦略で中国の覇権主義的な動きについて、日本やアジア地域の安全保障への「挑戦」と位置づける方向で調整に入った。米国や北大西洋条約機構(NATO)も中国の動向を「挑戦」としており、足並みをそろえる。台湾問題にも言及する方針だ。

尖閣諸島周辺海域で、中国海警局の船(奥)を監視する海上保安庁の巡視船=同庁提供

 複数の政府・与党関係者が明らかにした。国家安保戦略は今後10年間程度の外交安保政策の指針となる。2013年に決定された現行の戦略は、中国の動向を「我が国を含む国際社会の懸念事項」としている。習近平(シージンピン)政権下で、周辺国への威圧を強める中国への認識をどのように表現するかが改定の大きな焦点となっている。

 政府・与党は、中国海警局の船が沖縄県の尖閣諸島周辺の領海に相次いで侵入するなど、一方的な現状変更の試みが深刻化していることから、戦略で中国への危機感を明確に示す方針だ。

 ただ、日中は経済的な結び付きが強く、17日には約3年ぶりに日中首脳会談が行われるなど、政治レベルの対話も本格的に再開した。

 一方、米国のバイデン政権は10月に公表した国家安保戦略で、中国を「最も重大な地政学的挑戦」と規定した。6月に採択されたNATOの「戦略概念」も中国を安保上の挑戦とした。

 このため、政府・与党内では、日米同盟で中国を抑止しつつ、「建設的で安定的な関係」を目指す日本としても、中国の動きを「挑戦」とすることが妥当だとの意見が大勢となっている。

 中国が軍事的な圧力を強める台湾に関しては、「台湾海峡の平和と安定」の重要性を戦略で強調し、中国による台湾の武力統一を容認しない姿勢を示す考えだ。ロシアと「あらゆる分野で協力を進める」とした現行の認識はウクライナへの侵略を踏まえ、抜本的に見直す。弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮は引き続き、「脅威」とする見通しだ。

 国家安保戦略などの改定に向けた自民党の提言は、中国を「重大な脅威」と記述したが、公明党は「脅威」との表現は「強すぎる」との立場をとる。政府は与党内の議論を踏まえ、来月上旬にも文言を決める予定だ。

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