購買力平価ベースでの1人当たりGDP(国内総生産)や国際競争力ランキングなどの経済指標から韓国は日本を追い越したという言説が昨今かまびすしい。こうした言説に多くの日本人が不快感や疑問や漠とした不安を覚えるのではないだろうか。筆者は定年退職後に放浪旅の途上で遭遇する韓国人と交流するうちに、韓国人そのものも変化しているように感じている。

 今から30年~40年前は、韓国の財閥系商社や大手メーカーのビジネスマンと商談していると彼らの『日本人には負けないぞ』という気魄や気負いを感じたものだ。それは彼らの劣等感の裏返なのだと思った。

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フィリピン・韓国友好碑。朝鮮戦争へのフィリピン軍派遣への感謝する とある。フィリピンは7420人を派兵、内戦死116人、負傷229人、行方不明27人

(中略)

◆韓国では新設大学が氾濫、学生の劣化により大卒は名前だけ

 8月31日。ボラカイ島の大衆食堂で相席した韓国青年ハン君と歓談。独身38歳のハン君はITエンジニア。銀行・保険会社など大企業のシステム設計・補修などを担当している。1週間だけ休みが取れたので遅い夏休みをボラカイ島で過ごす予定だ。

 フィリピンの教育事情の話をしていたら、韓国の大学はレベルが低下したと嘆いた。「理由は単純で、少子化で子供の数が激減しているのに新設大学がどんどん増えていることが原因。学生の劣化により学位の意味もなくなった。大半の大学は不要だ。背景にあるのは親の見栄。『せめて大学だけは卒業しないと世間からバカにされる』という韓国社会の同調圧力が大学増設の背景にある」と喝破。

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◆韓国レストランの女性オーナーの冷静な業界分析

 9月4日。立派な構えの韓国レストランにお邪魔して話を聞いた。50代半ばと思われるソウル出身のマギーさんは18年前にボラカイ島に来た。

 現在は客の80%がフィリピン人、韓国人が15%。コロナの収束とともに韓国人観光客は徐々に増えると予想している。しかしコロナ以前の水準にまで韓国人客が来店することは期待できないという。

 韓国社会の海外旅行ブームは続くが韓国人もかなり国際化してきた。コロナ明けでフィリピンへの韓国人観光客が増えるとしても1週間や10日程度の滞在では旅慣れた個人旅行客は韓国料理をわざわざ食べに来ない。海外に来たのだからとタイ料理、イタリア料理、フィリピン料理などをトライする。

 韓国人団体旅行では滞在中最低一回は韓国料理を旅程に入れるが、韓国の団体旅行の行き先の中心は欧米に移ってきている。アジアへは“行き尽くした”という韓国人が多いからだ。

 今後自分の店ではフィリピン人観光客の比重が益々高くなると予想。フィリピンでもKポップ、KドラマなどKカルチャーのファンが増えてKフードにも興味を持つ人が増えている。特にマニラやダバオなど大都市の人々にKファンが増えている。注)何人かのフィリピン人にKカルチャーやKフードについて聞いたがマギーの言う通りだった。

 経済成長により生活に余裕が出てきたのでフィリピンは国内旅行ブームだ。このトレンドに乗ってフィリピン人を呼び込んで満足してもらえるような宣伝やメニューづくりを準備しているという。

(以下ソースにて)

高野凌 (定年バックパッカー)
2022/11/27
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/28647?layout=b