大邱北区大賢洞(テグ・プック・テヒョンドン)の住民たちが15日、豚肉パーティーを開いた。40人分の豚肉を用意したこの行事の名称は「大賢洞住民のための年末大宴会」。忘年会を兼ねた住民同士の親睦を深めるための地域の祭りではない。豚肉をタブー視するムスリムを標的にして準備された「企画デモ」だ。この日のパーティーは、慶北大学西門近くのイスラム寺院建設工事現場の目の前で行われた。工事現場の前には10月末から3つの豚の頭と豚足、豚のしっぽなどが住民たちによって置かれている。

 地域住民からなる「大賢洞イスラム寺院反対非常対策委員会」は、自分たちの行為は「土俗信仰」だと強弁した。行事に先立って行われた会見で彼らは「ここは大韓民国だ。土俗信仰にもとづく豚頭の祭祀をヘイトクライムだと主張するのは話にならない」と声を張り上げた。そして「イスラム寺院の施主たちこそ、住民の文化と宗教を差別し嫌悪している」と主張した。

 イスラム寺院の建設を支持する大学生に対しては、暴言と物理力の行使もためらわなかった。行事の途中、慶北大学の2人の在学生が校門に寺院建設を支持する壁新聞を貼ろうとすると、大勢で壁新聞を力ずくで奪った。彼らは学生たちを取り囲んで脅威するようなな雰囲気を作り、「誰にけしかけられて来たのか」「将来が心配だ」と暴言を浴びせた。学生たちは取材陣のインタビューを受けるために学内に避難したが、一部住民たちはつけ回して名前と所属を問い詰めた。

 壁新聞を奪われた慶北大学教育学部1年生のKさん(20)は取材陣に対し、「豚の頭を置いてバーベキューパーティーを開くのは、非理性的で非倫理的な嘲笑行為だ」とし、「馴染みのなさからくる不快さはあろうが、対話と協力で対立を解消するのが自由民主主義社会ではないのか」と述べた。

 この日、反対住民たちがバーベキューパーティーを開いた時間は、ムスリムの昼食の祈りの時間だった。ムスリム留学生たちは寺院工事現場前の住宅を臨時モスクとして使っているが、この日は反対住民たちとの衝突を避けるために、臨時モスクではなく大学内で簡略化して祈らなければならなかった。

 「大邱イスラム寺院問題の平和的解決のための対策委員会」はこの日、声明を発表し、その中で「豚の死体または豚の頭をイスラム寺院に投げつけたり展示したりする行為は、イスラム嫌悪を表現する代表的な行為だ。豚の頭を置くことに続き、公開的にバーベキューパーティーまで行う一部住民の表現のあり方は見るに耐えない」とし、「何よりこの事案について公共機関としての義務を果たさない大邱北区役所は、糾弾されてしかるべきだ」と述べた。

 イスラム寺院建設工事は、慶北大学に通うムスリムの留学生たちが少しずつ資金を出し合い、2020年12月にはじまった。後にこれを知った住民たちは反対運動を開始。大邱北区役所は工事中止行政命令を下した。施主や市民団体などは行政命令撤回訴訟を起こし、一審と二審に続き、9月には最高裁でも勝訴した。しかし非常対策委を結成した一部の住民たちは、工事現場の前にムスリム学生たちを標的として豚の頭を置き、祈りの時間に合わせて豚肉パーティーを開くに至った。

キム・ギュヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
12/16(金) 8:09配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/a851e444cc401c87487d6c4534499b6764ddb9ab