台湾TSMCの3ナノメートル(nm・1nmは10億分の1m)工程技術に否定的な意見が出ている。5ナノで生産したSRAMと比較して半導体セル面積に大きな差がないという事実が明らかになった。すでに3ナノ工程量産を宣言している韓国サムスン電子との間で競争力の逆転が起こる可能性が浮上した。

米国の半導体専門メディア「ウィキチップ」(WiKi Chip)は14日(現地時間)、TSMCが「IEEE国際電子素子学会(IEDM)2022」で発表した内容を引用し、「3ナノベースのSRAMは、以前の製品に比べてプロセス微細化(Scailing)の進展がない」と報じた。

(ウィキチップ記事URL:https://fuse.wikichip.org/news/7343/iedm-2022-did-we-just-witness-the-death-of-sram/

TSMCの3ナノ第1世代(N3)工程で生産されたSRAMは、半導体セル面積が0.0199マイクロ平方メートル(μm2・1μm2は100万分の1m2)に留まり、5ナノベースのチップ(0.021μm2)よりわずか5%小さい。3ナノ第2世代(N3E)製品と面積が同じ。面積に大きな差がなく、製品全体でSRAMが占める割合も大きく減らない見通しだ。

ウィキチップはダイサイズが255mm2でSRAMが45mm2(17.6%)を占めるチップを3・5ナノで製作した場合を想定しSRAMの比重を比較した。3ナノプロセスを適用した場合、ダイサイズは44mm2で、SRAMはほぼ30%(12.58mm2)を占めた。 5ナノで作った時と比較してSRAMの比重(22.5%)が高い。

そのため、SRAMの面積を減らしてコストを節約するのに3ナノが有利ではないというのがウィキチップの結論だった。 これは、より膨大なデータを処理するためにSRAM搭載量を増やす中央処理装置(CPU)・高性能処理装置(GPU)の価格引き上げにつながる可能性がある。

TSMCは歩留まり問題で3ナノプロセス量産に苦労している。 当初9月に生産する計画だったが、第4四半期末に延期された。

一方で、ファウンドリ事業でTSMCを追いかける韓国サムスンは、世界で初めて3ナノプロセス量産に成功したと発表した。サムスン電子のチェ・シヨン=ファウンドリ事業部長(社長)は今年10月、来年上半期に(GAAGate-All-Around)技術を適用した3ナノ第1世代を、2023年に3ナノ第2世代の量産を始めると明言している。これを受け、サムスンは、すでにNVIDIAやQualcomm、IBM、Baiduなどを顧客として確保したと韓国メディアなどでは報じられている。

トレンドフォースによると、現在、半導体ファウンドリ市場では台湾TSMCが50% 超のシェアを握り、2位サムスン電子のシェアを大きく上回る状態が続いているが、今後、その構造に変化が生じる可能性がある。

コリア・エコノミクス 2022年12月20日
https://korea-economics.jp/posts/22122001/