古文献研究会発行の『ヨーロッパが描いた旧韓末朝鮮』 欧州、朝鮮をカニや牛、蜂の巣などに描写
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 日清戦争勃発直前の1894年7月15日、オーストリアの雑誌「デル・フロー(Der Floh)」はカニ(朝鮮を象徴)を挟んで中国人と日本人がけんかをする場面を描いた風刺画を掲載した。後ろでは女性平和活動家ベルタ・フォン・ズットナーが「武器を下ろせ」と諭している。当時、ヨーロッパの知識人たちは東アジアの状況にも関心を持っていたが、中国と日本、西洋列強の間に挟まれていた朝鮮(または大韓帝国)はカニをはじめ牛、蜂の巣などとして描かれていた。勢力争いの対象に過ぎなかったため、モノや動物として描写されたのだ。

 恩平区(ウンピョング)の後援で古文献研究会が最近刊行した『ヨーロッパが描いた旧韓末朝鮮』は、19世紀半ばから1910年の間にヨーロッパが韓国をどのようにみていたのかを示す資料を集めた資料集だ。「イリュストラシオン(L'Illustration)」(フランス)や「イラストレーテッド・ロンドン・ニュース(The Illustrated London News)」、「ザ・グラフィック(The Graphic)」(英国)、「クラデラダッチュ(Kladderadatsch)」(ドイツ)のような雑誌に掲載された風刺画や記事など、これまで国内で直接収集するのが難しかった資料を掲載した。ヨーロッパで韓国学を広めるために尽力してきたベルリン自由大学韓国学研究所のイ・ウンジョン所長が、これまで収集して研究してきた資料を提供すると共に解題を書き、これを古文献研究会のシン・ジュベク理事がまとめた。古文献研究会は当初、北朝鮮にある古文献および日本による植民地時代の資料を調査・収集・研究するために2020年に結成された団体だ。南北関係の硬直などで北朝鮮から古文献を持ち込むことが難しくなったことを受け、代わりにヨーロッパなど国外の資料を集めて発刊したのだ。

 資料集は「1876年開港前後」、「国際社会と日清戦争」、「大韓帝国をめぐるロシアと日本の争い」、「国際社会と日露戦争」、「日露戦争後の日本の侵略」、「日常の暮らしと政治」、「その他」の順にまとめられている。イ・ウンジョン教授は、「ヨーロッパの一般市民は、実は19世紀までKOREA(朝鮮)の存在すら知らなかった。(…)朝鮮という国を明確に認識するようになったきっかけは、1894年に朝鮮半島で起きた戦争(日清戦争)」だと指摘した。日本が朝鮮をアジアから切り離そうとする足首として描いた挿絵や、朝鮮の王を病弱な人として描いた挿絵などに見られるように、ヨーロッパのメディアの目に映った朝鮮は「帝国主義列強の侵略に直面したにもかかわらず、そのような危険さえまともに認識できない未開の野蛮国に過ぎなかった」。これは資料集全般に現れる態度だ。

 イ教授は「統一したドイツの現在の主流知識人たちにとっても、東アジアは依然として中国と日本に代弁されるだけ」だとし、東アジア3カ国を同等に見なさない態度が依然として残っていると述べた。2021年9月にベルリンで開館した大型博物館「フンボルトフォーラム」の中に、「韓国ギャラリー」が「中国室」の一角に区別しにくい状態で設けられていることがこれを裏付ける。シン・ジュベク理事は資料集が「韓国人にとっては自ら韓国を相対化することに、(…)ヨーロッパ人にとってはありのままの韓国を分析し理解することに役立てばと思う」と語った。

チェ・ウォンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
1/7(土) 7:19配信
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