【日本マネーが支える韓国「統一教」に迫る】#12

 安倍晋三元首相の銃撃をきっかけに、旧統一教会の霊感商法や高額献金の問題がクローズアップされ、国会では昨年12月10日、被害者救済を図るための新たな法律が成立した。

 新法では、献金のために借金や生活に不可欠な資産の処分で資金を調達させたり、「霊感」で不安に付け込んだりすることなどを禁止している。献金した本人ではなくても、子どもなどが本来受け取るはずだった養育費など、一定の範囲で本人に代わって取り消しや寄付金返還を求めることも可能になった。

 最大の課題は、教団のマインドコントロールによって信者が献金することを、どのように規制するかだった。「法律の条文で規制すべき」という野党側と、信教の自由や財産権の問題から難色を示す与党側との意見の隔たりは大きかった。

 だが、世論に後押しされる形で与野党が歩み寄り、新法の成立にこぎ着けた。内容が不十分との批判もあるが、旧統一教会にとって大きな圧力となったのは間違いない。

■交錯する不安と怒り

 韓国人の元信者は「資金源だった日本からの献金が減れば、教団の運営自体が立ち行かなくなる。(教団が所有する)不動産などが売却される可能性もある」と指摘する。日本での法規制は、旧統一教会の根幹を直撃する問題なのだ。

 旧統一教会への「包囲網」といった動きに、信者の抱える不満は大きい。韓国に住む日本人の男性信者は「自民党は教団と本気で手を切るつもりなのか。本当に、その覚悟はあるのか」と、怒りをぶちまけた。マスコミが教団を「ロシアのような戦争犯罪集団と同じ扱い」にしていると、怒り心頭な様子だった。

 男性信者に「覚悟とはどういった意味か」と聞いてみた。自民党が教団に握られている弱みを暴露される、という意味かと思えたからだ。

 その問いに、男性信者は「教団は世界各国に基盤を持っており、さまざまな人脈がある。安倍首相が、当選直後のトランプ米大統領と会談できたのも、そうした人脈のおかげだからです」とした上で、こう言い切った。「教団が自民党や日本のためにしてきたことはたくさんある。そうした協力を得ることができなくなることへの『覚悟』という意味です」

 自民党や日本のために、教団が「してきたこと」とは何なのか。それを尋ねても、明確な答えはなかった。(おわり)

https://news.yahoo.co.jp/articles/18176784d6d8829cb3778872826d7002b7385df0