自由主義陣営国の筆頭であるアメリカ合衆国がインフレ退治で金利を上げ、金融引き締め方向であるのに反し、中国はインフレであるにもかかわらず金融緩和方向で進行しています。

経済が瓦解しそうなので資金を注入しないと仕方がないからです。新規融資が拡大していることでもそれは分かります。

『中国人民銀行』のデータによると、2022年12月、人民元の新規融資は「1兆4,000億元」(約26兆7,120億円)を記録しました。11月が「1兆2,100億元」(約23兆868億円)でしたから「1,900億元」(約3兆6,252億円)も拡大しています。

市場予測は「1兆1,000億元」だったので、予測を約27.3%も上回ったのです。

注目は、家計融資は縮小し、企業への融資が急拡大している点です。

家計融資:1,753億元(-33.3%)
(約3兆3,447億円)
企業融資:1兆2,600億元(+42.6%)
(約24兆408億円)
※( )内は対前月比の増減

家計融資(住宅ローン含む)は、「11月:2,627億元」(約5兆123億円)だったので「33.3%」の減少。企業融資は「11月:8,837億元」(約16兆8,610億円)だったので、なんと「42.6%」も増加しているのです。

これで2022年がどう締まったのかというと、新規融資は「21兆3,100億元」(約406兆5,948億円)です。

お金じゃぶじゃぶもここまでくると「スゴイ」としか言いようがありません。2021年に記録した「19兆9,500億元」(約380兆6,460億円)を更新して史上最大の新規融資額達成です。

「借り倒しとるやないか」です。

資金需要が高まっているのと同時に、これほどの金額を投入しないと経済の瓦解を止められないと見ることができます。恐らくこれでも資金調達は十分ではないでしょう。このうちどの程度が不良債権化するのかと考えると空恐ろしくはならないでしょうか。

※日本円への換算は2023年01月14日「1元=19.08円」で行いました。

(柏ケミカル@dcp) 2023.01.14
https://money1.jp/archives/97736