集団的自衛権の行使容認に道を開いた安倍晋三元首相の「共に戦う同盟」路線を深化させたような首脳会談だった。

ー中略ー

 反撃能力の保有が閣議決定されたのは国会閉会後で、わずか1カ月前である。国民的な議論もないまま軍拡路線に突き進む首相の姿勢は、あまりに前のめりすぎる。

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 日米の軍事一体化の背景にあるのが、東アジアの安全保障環境に対する強い危機感だ。

 共同声明ではロシアによるウクライナ侵攻や、中国や北朝鮮の軍事行動を挙げ「あらゆる力または威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対する」と強調した。

 中国の海洋進出や、北朝鮮のミサイル発射は周辺の緊張を高めており問題だ。しかし、日米による抑止力強化も地域の緊張を高めている。

 批判された中国や北朝鮮がさらなる挑発行動に走る危険性は高い。軍事力に軍事力で対抗するだけでは「安全保障のジレンマ」に陥りかねない。

 2プラス2では、米軍嘉手納弾薬庫の共同使用で一致。自民党内には下地島空港を国管理にし、軍事利用する案も出ており、懸念が高まっている。

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 念頭に置くのは「台湾有事」だが、この間、際立つのは軍事強化だ。緊張緩和の外交や、有事の際の住民保護などの議論はほとんど見えない。

 首相は会談後の講演で、「昨年、私は外交・安全保障政策で二つの大きな決断を行った」として、安保政策を大きく転換したことを説明した。一方で、国民や県民への説明はいまだに十分とは言えない。

 23日から始まる通常国会では、安全保障特別委員会の設置を求めたい。防衛増税や日米同盟の在り方、沖縄の負担軽減について徹底的に議論すべきだ。

1/16(月) 7:52配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/366073b2ceb0c206f8c99b499b62a256d9fabc16