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 文在寅(ムン・ジェイン)政権期には水面下に潜んでいた国家保安法違反事件が再び政局に浮上しました。18日には全国民主労働組合総連盟(民主労総)の現職・元幹部数人が北朝鮮の工作員と接触した疑いで大規模な家宅捜索を受けました。これとは別に国家情報院が追跡中のスパイ組織事件も数件あります。

 このうち一つの事件を文在寅政権が確認していながら、南北関係を意識して隠そうとしていたことがTV朝鮮の取材で明らかになりました。当時の徐薫(ソ・フン)国家情報院長がスパイ事件の捜査を事実上妨害し、その間にスパイが北朝鮮と接触し、工作資金まで受け取っていたのです。イ・チェヒョン記者の独自取材です。

【TV朝鮮ニュース動画】「南北関係があるから…」 元国家情報院長が清州スパイ組織事件の捜査もみ消し
https://youtu.be/IzsPYLUtW0Q

 (記者リポート) 

 スパイ組織の疑いが持たれている「忠北同志会」は忠清北道清州市を中心に2017年から北朝鮮の指令でF35ステルス機導入反対運動を展開し、21年に4人のうち3人が拘束され、裁判を受けています。いわゆる「清州スパイ組織」事件です。

 国家情報院は18年初め、疑惑の証拠を確保しましたが、当時の徐院長が裁可せず、起訴することができませんでした。

 対共産分野に詳しい関係者はTV朝鮮に対し、「徐元院長が『南北関係は改善しているが、スパイ事件が起きれば悪影響を及ぼすので保留しよう』と語った」とと明らかにした。徐元院長の職権でスパイ捜査を阻止したというのです。

同年4月から半年間に3回の南北首脳会談が開かれました。

 (文在寅前大統領、2018年4月の板門店宣言)

「韓半島の完全な非核化に向けた重要な出発となるでしょう」

 (記者リポート)

 徐元院長は忠北同志会のメンバー拘束直後、国会で捜査決裁を保留したことを否認しました。

 (太永浩=テ・ヨンホ=国民の力議員)

 「『彼らを逮捕して司法処理しよう』と室長に伝えると、南北関係を考慮して事件の決裁を先送りしたのではないか」

 (徐元院長)

 「国家情報院が公式に事実ではないと確認済みです」

 (記者リポート)

 国家情報院に調べによりますと、捜査が遅延する間、忠北同志会のメンバーは35回にわたって北朝鮮側とやりとりし、19年には中国・瀋陽で北朝鮮の工作員から2万ドルを受け取っていたといいます。問題の事件に対する捜査決裁は、朴智元(パク・チウォン)元院長の在任期間後半になってようやく下りました。TV朝鮮のイ・チェヒョンがお伝えしました。

(2023年1月19日放送 TV朝鮮「ニュース9」より)

チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2023/01/20 14:01
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/01/20/2023012080079.html