【ニュース裏表 平井文夫】

1月11日の産経新聞に興味深い記事が載っていた。渡辺浩生ワシントン支局長の署名で、「中国の台湾侵攻失敗」「米介入、自衛隊も甚大損失」というギョッとするタイトルだが、「2026年 米研究所想定」とあった。

【表でみる】安倍政権時代の主なキャッチフレーズ

『君たち、中国に勝てるのか』(産経新聞出版)という、安倍晋三元首相の有名な問いかけをタイトルにした本が最近出版されたが、まさにこの記事は安倍氏の問いかけに対する答えではないか。

記事によると、米有力シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は、中国が2026年に台湾に侵攻するという設定で軍事シミュレーションを行った。侵攻は失敗するが、米国や日本側の艦船、航空機、要員に甚大な損失が生じるとの報告書を発表した。

『君たち、中国に勝てるのか』の共著者の一人、兼原信克・元国家安全保障局次長によると、18年に防衛大綱をつくる際、「居並ぶ自衛隊最高幹部を前にして、いきなり安倍首相(当時)から『君たち、勝てるのか』と聞かれた」という。

また、安倍氏から「戦争になれば自衛隊員は何人死ぬか」と聞かれたこともあった。今回のCSISの予想では米軍の死者は3200人に上るが、自衛隊員の死者数はなぜか記載されていない。あまりにもリアルなので記載を控えたのだろうか。

兼原氏は「アメリカと組んで、日本の腰が砕けずにいたら、勝てると思います」としながらも、「九州や沖縄が丸焼けになって、東京に核兵器が飛んで来るような状況になるのであれば、たとえ勝ったとしても戦争をやる意味がありません」と指摘している。

共著者の一人、尾上定正元空将は「台湾有事が本当に現実のものになったら勝者はいない」としたうえで、「勝つというより、そうした事態を絶対に起こさせないことが大事です」と述べている。つまり日本は米国や他の同志国と協力して戦争を抑止するしかないということだ。

欧米を歴訪した岸田文雄首相は、反撃能力の保有を含めた防衛力の強化や、それに伴う防衛費増額を説明し、ジョー・バイデン米大統領はじめ、G7(先進7カ国)首脳から高い評価を受けた。外遊は成功と言っていいだろう。これからは、その計画を着実に実行に移さなければいけない。

CSISの報告書に自衛隊員の死者数は記載されていないが、米軍の被害から類推するに、数百人から1000人以上の自衛隊員が死亡するのではないか。

安倍氏の「勝てるのか」「何人死ぬのか」という問いかけに対する本当の答えは、「自衛隊員数百人が死亡するが勝てる」ではなく、「戦わずに勝つ、つまり抑止する。それが一番大事な事」(共著者の岩田清文元陸幕長)なのだろう。 (フジテレビ上席解説委員・平井文夫)

1/20(金) 17:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/768b9164625478da3d5c88741b8652937866e960

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