元徴用工問題(日本統治下で動員された労働者が日本企業に対する訴訟を起こした問題)について、韓国政府が解決に向けて積極的な動きを見せている。

 韓国政府の解決案はまず、損害賠償請求を認める判決が確定した元徴用工に対しては、日本企業に代わって韓国の財団が賠償金を支払う。さらに係争中の元徴用工に対しても同じ方法をとって、この問題を一気に解決しようという内容だ。

 この解決策が実現すれば、日韓間で最大の懸念となっている日本企業の資産の現金化を回避できるだけでなく、李明博(イ・ミョンバク)大統領の時から続く日韓関係の「停滞の10年」を終わらせることも期待できるだろう。

(略)

 ここで問題になるのは、韓国の対応をどこまで信じられるのかという問題だ。

■岸田首相は慰安婦合意を反故にされた当事者

 尹錫悦大統領が日韓関係改善に本気なことは自民党のタカ派議員でも理解している。しかし、日本側には「政権が代わってもこの政策は維持されるのか」という懸念は強い。

 2015年、保守系の朴槿恵(パク・クネ)大統領の下で従軍慰安婦についての合意が実現した。ところが大統領が進歩系の文在寅氏に交代すると、「国民世論の理解が得られていない」などという理由であっさりと反故にされてしまった。

 この時、合意内容を韓国外相とともに記者会見で発表したのが、当時外相だった岸田文雄首相だ。同じ誤りを繰り返すわけにはいかず、岸田首相が日韓関係についてはことさら慎重な対応をしているのも頷ける。

 事実、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、政府の対応を「国民の常識とかけ離れた反民族的で、反歴史的な態度だ」と強い調子で批判しており、保守勢力と進歩勢力の対立は以前にも増して激しくなっている。

 しかし、韓国の次期大統領選(2027年予定)までにすべてを決着させてしまえば、政権交代を気にする必要はなくなる。韓国企業とともに日本企業が自発的に財団に寄付し、係争中の元徴用工に渡すような対応が実現すれば、政権交代で反故にすることもできなくなる。

 それは同時に元徴用工問題についての主導権を韓国司法の手から外交の世界に引き戻すことにもなる。

 日韓の間には元徴用工問題に加えて、韓国側が強く反発している半導体素材などの輸出規制問題や、韓国が一方的に終了を通告し、その後「終了通知の効力停止」を宣言したまま中途半端な状態となっている軍事情報包括保護協定(GSOMIA)問題も残っている。

 さらに視野を広げると、ウクライナ戦争の余波で北東アジア地域でも、中国による軍事的脅威や北朝鮮の核の脅威が現実味を持ってきている。さらに世界経済が低迷し、各国が自国の利益追求を強める時代を迎えつつある。そんなときに日韓という中規模国家が長期間、足を引っ張り合っている場合ではない。

 尹錫悦大統領が思い切って踏み出した今、次は岸田首相の番だろう。

薬師寺 克行 :東洋大学教授

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