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<大型契約を結んだポーランドに各国が追随、武器供給をドイツに頼る時代は過ぎ去った>

ロシアの侵攻を受けているウクライナへの支援で、今もドイツは世界で4番目の貢献度を誇る。ところがオーラフ・ショルツ首相は、自国の主力戦車レオパルト2のウクライナへの供与を、ずいぶんとためらった。この一件をめぐっては、供与が決まった後も論議が続いている。

ヨーロッパの近隣諸国にとってドイツは、長いこと兵器調達の頼れるパートナーだった。だが今回の件は、周辺国の信頼を揺るがせた。ショルツが言い訳を並べて決断を先送りしたことで、ドイツ政府は優柔不断だというイメージが生まれ、近隣諸国は兵器の調達先として他の選択肢を探し始めている。


特に大きな懸念を抱いているのが、ロシアの脅威にさらされている国々だ。ここ数週間のドイツの弱腰を目の当たりにして、地上軍の主力装備をドイツに頼るのは賢明なのかという疑問が浮上している。

そうはいっても、いまヨーロッパに戦車の魅力的な供給元がないことも間違いない。フランスとドイツがそれぞれの主力戦車「レクレール」と「レオパルト」の後継戦車「MGCS」を共同開発する計画だが、これも官僚主義に足を引っ張られて先行きは分からない。

そんな悩めるヨーロッパの前に現れたのが、韓国だ。

ポーランドは昨年、韓国の現代ロテムおよびハンファディフェンスと大規模な兵器調達契約を結んだ。K2戦車1000両とK9自走砲672門などを調達するという。戦車の最初の180台は韓国で生産され、残り820台は2026年以降にポーランドで造られる(ポーランドの「PL」を付けて「K2PL」戦車と呼ばれることになる)。

現地生産を売りものに
ポーランドにしてみれば、韓国と契約すればドイツに頼るよりもはるかに安く迅速に兵器の供給を受けられる。しかも、技術移転を受けることで自国の防衛産業を強化したいという狙いにも合致する。

韓国にとっても技術移転はなじみが深い。1995年、韓国はそれまで実質的にアメリカ頼みだった戦車の開発を、国内企業を中心に進めることを決め、新型K2戦車の開発に着手。07年に試作車が公開され、厳しいテストや審査を経て14年に韓国軍への引き渡しが始まった。

K2には、レオパルト2の粗削りな模造品だという否定的な声もある。それでも世界クラスの主力戦車であることには変わりがなく、性能ではヨーロッパ製の優れた戦車に引けを取らない。レオパルト2と競わせたテストでも優れた成績を残している。

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https://youtu.be/sEzrPN-Wmy8

以下ソースから

2023年2月7日(火)14時10分
ブレーク・ハージンガー(アメリカン・エンタープライズ研究所)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/02/post-100795.php