2/15(水) 10:49配信ハンギョレ新聞

 昨年1年間の韓国経済の規模は、生産指標から見れば成長傾向を維持したが、実質購買力を示す国民所得指標は減少傾向であることが確実視される。物価上昇分および輸出入の交易条件を考慮した実質国民総所得(GNI)が、1998年以来24年ぶりに前年より減り、マイナス成長を記録するものと推定される。

 昨年の第4四半期の指標まで出した韓国銀行の「2022年国民勘定」統計を、13日に本紙が分野ごとに分けて分析した結果、実質国内総生産(GDP)は昨年2.6%(速報値)成長したが、貿易損益と国外純収取要素所得を含めた実質GNIの推定値は-1.2%前後と算出された。対前年比で昨年は生産では成長したものの、購買力では国民所得がむしろ減ったということだ。年間でGNIが減ったのは、1953年以降2021年までで2回(1980年-5.6%、1998年-7.7%)。しかし、この二つの年にはGDPの成長率もマイナスを記録した反面、昨年は「生産指標は成長、所得指標は収縮」という点でまったく異なる様相だ。

 実質GNIの減少は、交易条件(輸出入価格指数を考慮)の悪化により実質の貿易損益で大規模な赤字(貿易損失)が発生したという要因が大きい。昨年の実質貿易損失は前年より70兆7000億ウォンほど増えた115兆4000億ウォン(約12兆円)で、実質GDP比5.9%に達する。昨年の貿易損失の絶対規模と増加幅、GDP比の割合は史上最大規模だ。これによって、GDPに貿易損益を反映して算出する実質国内総所得(GDI)は、昨年-1.1%(韓国銀行速報値)の減少傾向を記録した。

 貿易損失の拡大ともに、国外純収取要素所得もGNIの減少要因として作用した。国外純収取要素所得とは、企業を含め韓国国民が国外での生産活動に参加した代価として受け取った所得の合計から、国内に居住する外国人が受け取った総所得を差し引いた項目だ。韓銀が発表した昨年第3四半期までの累積国外純収取要素所得は、前年同期に比べ9.4%減少した。このような減少傾向が第4四半期まで続くと仮定して推定した昨年の年間GNIの増減率は-1.2%だ。

 昨年の生産指標と所得(GDI)指標のあいだの乖離の幅は、過去最大を記録するものとみられる。韓銀の速報値だけを見ても、昨年のGDPとGDIの乖離度は3.7%ポイントで、過去の最大値(1980年3.3%ポイント)を超えた。

 生産と所得指標のあいだの乖離が大きくなった理由は、韓国経済の対外依存度が高まっている中、交易条件の変化による貿易損益の変動幅が広がったためだ。韓国銀行のイ・グァンギョ国民所得総括チーム長は「韓国の輸出では半導体の割合が大きすぎ、輸入では原油などのエネルギー類の比重が過去よりさらに増えた。昨年初めから半導体の輸出単価とエネルギー類の輸入単価がそれぞれ反対方向に動く一方、交易条件が急速に悪化して貿易損失も急増し、所得指標が悪化している」と説明した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f6957d494ceccd80a4e020025f0f1965bc3eadec