最近、中国では多くの人が「あの外国からの貿易の注文はどこに消えたのか」を話題にしている。「国内消費者や経済の国内循環で(中国経済を)救えるのか」などの話題も出る。いずれも、厳しい状況に置かれていることを物語るものだ。春節期間の状況も輸出の不振を反映していると貿易関係者は言う。

上海の貿易会社の関係者に話を聞くと、春節期はかつて、海外から注文が殺到した時期だった。多くの企業は受注をこなすために、賃金を引き上げて労働者を確保した。しかし、2022年には状況が一変した。多くの工場が春節期の休業を早めに始めた。しかし、労働者のほとんどが休みを取らずに出勤したがった。「懐がさびしかった」からだ。

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中国の「輸出不振」の原因は欧米の景気後退だけではない

外国からの受注の減少の原因についての公式の説明は「欧米では自らの経済上の原因で消費需要が減退している」だ。しかしスイス在住で貿易業を手掛ける中国人実業家によると、事はそう単純でない。欧米の景気後退が一因であることは確かだが、このような全方位的な減少はあまりに唐突だ。さらに、ある分野は比較的ましだが、アパレル加工業のような全滅状態に近い分野もある。つまり、欧米側の景気の後退だけなく、輸出する側に逆境にやや強い産業と極端に弱い産業が存在すると考えねばならない。

また、詳しく調べてみれば、欧米の需要全体が減っていること以外に、注文が流出していることが分かる。欧米の顧客は商品を求めなくなったのではなく、中国に注文しなくなったのだ。

ー中略ー

政府の提唱も「笛吹けど企業家踊らず」になる恐れ

繊維製品や靴製品については、これまで多くの海外ブランド品が中国で生産されてきたが、中国から撤退する動きが本格化した。その分、中国からの輸出額は減少した。

中国ブランドの製品は生産コストが急上昇したために、ベトナムやインド、メキシコなどでは優位性が失われつつある。一方で、中国当局はしばらく前から加工業のモデルチェンジと質の向上を奨励している。たしかに「労働力集約型」から「先進技術集約型」に移行すれば、他国の企業への「注文先の変更」は食い止められるだろう。

実際に、技術開発への注力を継続することで、すでに成果を出している中国企業も存在する。しかしスイス在住で貿易業を手掛ける中国人実業家は、多くの中国企業には製品の研究開発の実績が不足しており、自主ブランド樹立の意識も乏しいと指摘した。注文の減少という現実に直面して、多くの企業経営者は廃業を考慮するか、あるいは情勢が好転することを受け身の姿勢で待ちながら経営を続けているという。

モデルチェンジや質の向上には長期的な投資が必要だ。効果はなかなか見えてこない。決して平坦な道ではなく、さまざまな試練に満ちている。労働者の生計を維持するためにライバルを打ち破るべく奮闘すべきか、それとも撤退して手っ取り早く収入を得られる他の方法を探すべきか、あるいは蓄積した富を使って人生を楽しむべきなのか。これは2023年に中国の企業家が直面せねばならない選択だ。

以下全文ソースから

如月隼人 2023年2月19日(日) 7時0分
https://www.recordchina.co.jp/b909324-s111-c20-d1111.html