【宜興(江蘇省)=若杉朋子】パナソニックホールディングス(HD)は26日、中国で現地企業と組んで開発した高齢者向けの居住区で、住民の入居が始まったと発表した。高齢化が進む日本で培った住空間の設計ノウハウと空調や住宅設備などの自社製品を組み合わせ、中国向けに構成して提供した。

雅達国際ホールディングス(HD)と組み、街づくりの企画段階から参加した「雅達・松下社区」を江蘇省宜興市に整備した。26日に開いた街開きイベントで、パナHDの本間哲朗・副社長執行役員は「高齢化が進む日本での経験を基に満を持して提供する」と語った。雅達国際HDの蒋建寧・董事長は「高齢化に対するパナHDなどの日本の先進的な発想や産業基盤に学んでいきたい」と話した。

雅達・松下社区は全部で1170戸。販売価格は300万元(約6000万円)からで、半分ほどが売れたという。中国でも高齢化が急速に進み、高齢者の安全や健康に配慮した住宅の需要が今後高まる見通し。同日の式典に参加した垂秀夫駐中国大使も「日中共通の課題への取り組みだ」と述べ期待感を示した。

パナHDは建材や住宅設備などの製品を単体で販売するのではなく、限られた空間でも生活しやすい間取りなど日本で培った設計ノウハウと、家電を含めた自社製品を組み合わせて不動産開発企業に提供する事業を強化する方針だ。今回の雅達・松下社区を皮切りに、高齢者向けや単身者向けなど中国各地で地域ニーズにあわせた空間提案を進める。

日経新聞 2023年2月26日 21:53
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM242VH0U3A220C2000000/