強制動員「第3者返済」方式に批判殺到

 韓国政府が6日、日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害者に対する賠償を、
日本企業ではなく韓国企業の基金を募って行う「第3者返済」で進める立場を公式表明するという報道を聞いた被害者側は、
「2015年『慰安婦合意』よりもひどい外交惨事」だとして、強く反発した。

 新日本製鉄強制動員被害者を支援する民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は5日、本紙との電話インタビューで
「人権と尊厳の回復のための被害者の戦いを無視し時計の針を巻き戻す尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権」だとしたうえで、
「強制動員被害者の人権を踏みにじる韓米日軍事協力は誰のためなのか聞きたい」として、このように語った。

 強制動員被害者の代理人を務めるイム・ジェソン弁護士は同日、ソーシャルメディアに「韓国企業の資金で強制動員被害者の債権が消滅する格好」だとし、
「強制動員問題には1円も出せないという日本の完勝」だと述べた。

 三菱重工業強制動員被害者を支援する日帝強制動員市民の会のイ・グクオン理事長は、
日本側の「誠意ある呼応」として示されると見られる韓日「未来青年基金」(仮称)が、過去の被害者と被告企業間の交渉過程ですでに提示された案だと一蹴した。
イ理事長は「2012年の交渉過程で三菱重工業が韓国留学生の奨学基金を用意するという提案をしたことがある」とし、「それを今回再び持ち出した。
一度お供えしたものを使いまわして、再び交渉カードとして切り出したようなものだ」と批判した。

 これに先立ち、三菱重工業強制動員被害者側は2010年11月8日から2012年7月6日まで強制動員問題の解決に向け被告企業と交渉を行った。
当時、三菱重工業は日本の裁判所で認められた被害事実を具体的に記載した謝罪文を発表し、韓国人留学生の奨学金を調達する基金を作る意向を被害者側に表明した。
しかし、被害者側は当時、基金の性格が「被害賠償」という目的と沿わないと判断し断った。

 強制動員被害者支援団体は6日午後、ソウル市庁前広場で政府を糾弾するろうそく集会を開く。
三菱重工業の強制動員被害者であるヤン・クムドクさん(94)は7日、市民団体とともに今回の案を批判する記者会見を開く予定だ。

シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

登録:2023-03-06 06:09
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/46098.html