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バングラデシュ南東部にある、少数民族ロヒンギャの難民キャンプで5日、大きな火災があり、約1万2000人がシェルターを失ったとみられている。

火災の原因は分かっていない。死者も報告されていない。

当局によると、出火は5日午後2時45分ごろで、瞬く間に竹と防水シートで作られたシェルターに燃え広がったという。

バングラデシュの難民コミッショナー、ミジャヌール・ラーマン氏はAFP通信に対し、
「約2000軒のシェルターが焼け、強制的に住む場所を追われたミャンマー人、約1万2000人がシェルターを失った」と説明した。

火は3時間以内に消し止められたものの、シェルターに加え、少なくともモスク(イスラム教の礼拝堂)35カ所と難民向けの学習センター21カ所も焼失した。

ムスリムのロヒンギャは長年、仏教徒が多数派のミャンマーで迫害を受けていた。
2017年8月にロヒンギャの反体制派が警察署を襲撃したのをきっかけに、ミャンマー軍は弾圧を開始。数十万人のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃げた。

バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプは世界最大規模と言われている。
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国際赤十字赤新月社連盟のフルシケシュ・ハリチャンダン氏はBBCの取材で、
難民キャンプに「大きな損害」が出たと語った。水道センターや検査施設といった基本サービスにも影響が出ているという。

多くの難民が焼けたキャンプに戻り、使えるものを集めているが、現場には金属の支柱や焦げたトタン屋根ばかりが残っている。

ロヒンギャのマムン・ジョハルさん(30)は、「シェルターは全壊したし、店も焼けてしまった」と語った。

「火災に全てを奪われた。全てだ」
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国境地帯に数多くある難民キャンプには、100万人以上のロヒンギャ難民が暮らしている。そのひとつ、「キャンプ11」の上空に、黒い雲が立ち込めていた。

人口密度が高く、衛生環境も良くない難民キャンプは、火災に弱い。

バングラデシュ国防省が2月に発表した報告書によると、ロヒンギャの難民キャンプでは、2021年1月から2022年12月の間に222件の火災が発生。うち60件は放火だったという。

2021年5月に起きた火災では、少なくとも15人が亡くなり、5万人以上が住む場所を追われた。

2023年3月6日
https://www.bbc.com/japanese/64859580