中国の地方政府がいかに借金で首が回らなくなっているのか、です。

2022年10月末時点で中国地方政府の持つ債務残高が以下のようになります。

地方政府債務残高
一般債:14兆4,600億元(約281兆6,808億円)
特別債:20兆7,100億元(約403兆4,308億円)
小計:35兆1,700億元(約685兆1,116億円)
合計でなんと「約685.1兆円」も債務を抱えているのです。さすが大陸というか、めまいがするような債務残高です。

ちなみに、地方政府が発行する「地方債」は「一般債」と「特別債」に分かれます。

一般債
収入のない公共福祉事業を対象とし、一般公共予算から返済する
特別債
収入のある公共福祉事業を対象とし、対応する政府基金収入や事業収入から生じる特別収入から返済する

特別債は2015年に発行が開始され、その年は「1,000億元」ほどでした。ところが、規模は急速に膨らみ、2022年には4兆元(約7兆7,920億円)に達したのです。

どうやって返済するのかですが、中国の地方政府の主な収入は「土地プレミアム」です。一応建て前は、共産主義ですので、土地は私有できません。そのため、地方政府がほしい人に貸し出しという形でお金をもらいます。

地代であることに変わりはありませんが、これが地方政府に莫大な収入をもたらしてきたのです。

きた、と過去形で書くのは、その収入が激減しているからです。2022年01~10月時点で、地方政府の国有地使用譲渡による収入は「4兆4,027億元」で、対前年同期比「25.9%減少」です。

これは、例の『恒大集団』問題などで建設セクターが大打撃を受け、不動産市場が低迷したためです。これによって地方政府の収入も減るという構図になっています。

中国が必死になって不動産セクターを死に体にしないようお金を回していますが、これは成長エンジンを止めないようにという努力である一方、地方政府の収入を増やすための努力でもあります。

中国内の話ですので、まあ「お札を刷ればいいじゃない」ではありますが、地方政府には通貨発行権はありませんので、中央政府がじゃぶじゃぶ刷って地方政府にお金を回してやるしかありません。

インフレに気をつけてね!といったところですが、2023年01月には「中央政府は地方政府を救わない」などという報道も出ており、「どうするんだコレ」です。

(柏ケミカル@dcp)
2023.03.14
https://money1.jp/archives/101601