韓国社会は日本統治から解放された後、左右対立など政治混乱に見舞われた。その一つが南端の済州島で起きた1948年の4・3事件。
韓国政府樹立に向けた米国主導の国連管理下の選挙に反対する共産主義勢力(南朝鮮労働党)が、住民を扇動し反米暴動を起こした。
島を北朝鮮につながる〝解放区〟にしようとしたのだが、その鎮圧過程で多くの住民が犠牲になった。

近年、4月3日になると追悼の記念式が盛大に行われ、犠牲になった住民の補償や慰霊、鎮圧非難が語られるが、
肝心の誰が引き起こしたのかという事件の発端と真相は意図的(?)に無視されている。

そこで今年、北朝鮮の元駐英公使で韓国に亡命して今は韓国の国会議員になっている太永浩(テ・ヨンホ)氏が「あれは明確に金日成(キム・イルソン)が起こした事件」と語った。
ところが野党や左派勢力、メディアから「犠牲者を傷つける発言だ、謝罪しろ!」と非難されたので本人は「むしろ犠牲者を慰める発言で、何に謝罪しろというのか理解できない」と首をかしげた。

4・3事件の背景は「南労党―北朝鮮(金日成)―ソ連」という当時の東アジアでの国際共産主義勢力の意図を抜きには語れない。
この真相を解明せず、いや隠している近年の韓国での4・3事件論議に北から来た太永浩氏は驚き、あきれているのだ。(黒田勝弘)

産経新聞 2023/4/8 07:00
https://www.sankei.com/article/20230408-3JWPBVHD3NLXBNUK7BKNABZAIM/