話題の著作「反日国家の野望・光州事件」から読み解く

1980年に韓国で発生した「光州事件」をめぐる著作『反日国家の野望・光州事件』(ハート出版)が注目されている。
著者の元韓国陸軍大佐の池萬元(チ・マンウォン)氏は、事件を「民主化運動」とみなす公式の歴史観に疑義を呈してきた。
日韓間でも、歴史問題がくすぶっている。監訳者で、朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「韓国は時の為政者に都合のいい歴史がつくられてきた」と解説する。

光州事件は80年5月18日、全羅南道光州(クァンジュ)市で発生した。全斗煥(チョン・ドファン)将軍率いる軍事政権に、
「市民軍」が抵抗した「韓国史上最大の民主化運動」と説明されることが多い。
文在寅(ムン・ジェイン)政権下の2020年には、この歴史観を否定する者に対し、懲役や罰金刑を設けた「五・一八歪曲(わいきょく)処罰法」も成立した。

ただ、著者の池氏はこれまで膨大な史料を読み解き、「北朝鮮工作員らによる関与」を主張してきた。
複数の訴訟を起こされ、現在は収監されている。同書は裁判所に提出した答弁書をつづったものだ。

松木氏は光州事件当時、韓国に滞在していた。次のように振り返る。

「左派学生によるデモが各地で起きていたが、『民主化運動』とは見られていなかったと記憶する。
1987年の民主化宣言を受けて、その後、左派政権が台頭し、民主化運動という見方が根付いた。
韓国の歴代政権は前政権を否定することで正統性を得る。韓国では、歴史は『事実の検証』よりも、『結論ありき』でつくられるという認識がある」

現在、日韓間には融和ムードも漂うが、気を緩めてはならない。

松木氏は「今後、文氏以上の左派政権が登場した場合、徴用工や慰安婦の問題などを規制していく危険性もある。
日本は立場を崩さず、メッセージを韓国や国際社会に送り続けるしかない」と語った。

夕刊フジ 2023.4/15 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20230415-S47WXGIL25MYDJHHHVS7SHSQMU/