アメリカの次は中国だ

近代以降の歴史だけを見ても、16~17世紀の覇権国はオランダ、その後イギリスが18世紀後半~19世紀までその座にあった。そして、20世紀の覇権国は、間違いなくアメリカだった。

そして今まさに起こっている覇権争いで、アメリカを追い落とそうとしているのは中国である。

ー中略ー

これからのイノベーションの震源地

私が見るかぎり現在、世界で最もイノベーションが盛んな国は中国だ。

戦後の日本は、イギリス製品より低価格・高品質のテレビを販売し始めた。自動車やバイクでも同じ現象が起き、日本は大量生産によって世界のマーケットシェアを勝ち取った。
現在の日本には、世界で圧倒的なプレゼンスを持つ企業は存在するだろうか?戦後の日本企業は本当にすごかった。何を作っても圧倒的なクオリティでとても安かった。

当時、日本企業がどれほど低価格・高品質のものづくりに長けていたかを説明する際、私はよくこのエピソードを話すのだが、
世界最大のアルミニウム製品およびアルミナ(アルミニウムの原料)メーカーのアルコア(当時の社名はアメリカ・アルミナム)というアメリカ企業がある。

これは1950年代のエピソードだが、同社のCEOが日本から持ち帰ったアルミロールを見て、従業員たちは驚いた。驚くほど高品質だったからだ。
「きっと、特別な目的のためにつくられたものに違いない」と彼らは思った。
しかし、それは何の変哲もない「普通」の日本産アルミロールにすぎなかった。当時の「日本人の普通」は「アメリカの最高品質」だったのだ。

しかし、今の日本企業には当時のような勢いは感じられない。昨今、世界から注目を集めているブロックチェーンやAIの分野にも、残念ながら日本企業をほとんど見ることができない。

日本と中国はなぜここまで差が開いてしまったのか。「現場労働者の能力、先端産業技術など、あらゆる点で中国が日本を上回っている」という意見もあるが、
私はその原因ははっきりしていると思う。日本は過去に成功を収めた国だからだ。

自国が世界のトップに立つと、自然と国民は傲慢になってしまうものだ。加えて、トップに立つということは2位以下のすべての存在から追われるようになることも意味する。
日本がトップに立った瞬間、中国、ベトナム、タイ、インドなどの国が日本より安く製造し始めた。そうしているうちに、品質も日本と同等になってきたのかもしれない。
結果として、他国との産業格差が次第に縮まり、ついには追い抜かれることになった。これが私の見立てだ。

さらに、教育の問題もある。日本では文系と理系を早期に分ける教育が行われている。
早期に分かれていたら、後から違うことが学びたくなっても思うようにできず、この時点で大きな後れをとってしまう。

また、飛行機を発明したライト兄弟ももともとは自転車整備士だったし、
Microsoftを創業したビル・ゲイツも大学を中退したにもかかわらず世界を制覇するほどのコンピューターソフトを開発したように、
イノベーションを起こす人材は思いもよらぬ分野から発想するものだが、こうした「斜め上の発想力」を育てる教育を、日本の学校では行っているだろうか?

このようなシステムがあるのに、かつての日本は経済的に成功を収めたという事実があることに驚く。
従来のやり方で大きな成功を収めた経験があると、そのやり方を大きく変えるのに勇気がいる。ここに日本の難しさがある。

ZUU online 2023/04/14
https://zuuonline.com/archives/247809

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