福島の漁業者「放射能が検出されたクロソイ、売れない」 済州の海女「生存権を放棄しろという話」

 今夏に予想される福島原発汚染水の海洋放出に先立ち、韓日首脳が韓国視察団の現場派遣に合意したことをめぐり、野党と市民社会を中心に批判の声が連日高まっている。
日本政府が現場視察を原発汚染水放出の名目に利用しかねないという理由からだ。
韓日の漁業者たちも、国籍を越えて日本の原発汚染水放出に向けて一様に懸念の声を上げた。

「人は国籍があっても、海洋生物には国籍はない」

 福島の漁業者であり、元民俗学会会長の川島秀一さん(71)は9日、韓国国会で正義党が主催した「放射能汚染水無断投棄阻止に向けた韓日間連帯案模索討論会」で、
「今でも福島には放射能が検出されて売れないクロソイがある」とし、「(福島県の北に隣接する)宮城県の朝市でクロソイが売られているのを見て、
福島県の漁師たちは悔しい思いを抱えて過ごすしかない」と語った。

 川崎さんはこの日の関連記者会見で、「原発汚染水放出問題は海を共有する全世界のすべての人が直面した重要な問題」だとし「魚をはじめ海に住む動植物に国籍はない。
人間ではなく、海に住む生命の立場でこの問題を考えなければならない」と述べた。

 済州道の海女のユ・ヨンエさん(44)も同日の討論会で、「海女にとっては(原発汚染水の放出が)海に行かず、生存権を放棄しろという話と同じだ」とし、
「目前に迫ってきたこの難関を防ぐことができなければ、どうやって生きていけばいいのか。一緒に声を上げてほしい」と話した。

 これに対して正義党のイ・ジョンミ代表は、「(日本が)7月の放出を既定の事実としておきながら、
それに対する名目づくりで(視察団派遣の)日程が進められているのではないか気がかりだ」とし、
「汚染水放出に対するすべての計画を原点に置き、科学的な検証過程を経てこの問題を解決できる代案を検討しなければならない時だ」と述べた。

 共に民主党も加勢した。キム・ハンギュ院内報道担当は同日のブリーフィングで、23~24日に予定されている韓国視察団の訪日日程について、
「あと2週間しかない。海外旅行の準備にもぎりぎりの期間だ」とし、「尹錫悦政府は福島の放射能汚染水放出に免罪符を与えたいのか。
見せかけの行事でないならば、両国が共感できるよう安全性に対する科学的検証をしなければならない」と述べた。
これに先立ち、民主党は汚染水の放出で影響を受ける国を中心に共同調査団を構成することを提案している。

 一方、与党「国民の力」は、このような懸念は「第2の狂牛病問題のような怪談」に過ぎないと一蹴し、
汚染水放出の対策を設けるための「我々の海を守る検証TF」を発足した。
委員長を務めたソン・イルジョン議員は「野党は事実関係を検証することには全く関心がない」として
「国民の力のTFはひたすら科学的にのみアプローチし、国民の健康を守る」と述べた。
イ・ウヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

登録:2023-05-10 09:40
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/46694.html