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広島G7サミットが閉幕した。

注目された首脳声明には、1.ロシアによるウクライナ侵略を「国際法違反」「全世界への脅威」と最も強い言葉で非難し、ウクライナへの支援を強化2.「核兵器のない世界」へ努力強化3.「法の支配」に基づく自由で開かれたインド太平洋を支持4.東・南シナ海情勢に深刻な懸念を表明。中国による「力や威圧による一方的な現状変更」の試みに強く反対5.台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認6.中国の人権状況に懸念表明―などが並んだ。

20日夜には、日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」首脳会合も開かれた。

会合後に発表された共同声明には、「ウクライナでの戦争に対する深い懸念を表明」とあり、中国の覇権主義を念頭に「すべての国が脅迫と威圧のない、主権を尊重した平和で安全な地域を目指す」と明記した。

外務省関係者は「広島サミットは大成功だ。『核兵器のない世界』を究極の目標とする『広島ビジョン』をまとめあげた。これはG7で初めてのことだ。歴史的快挙だ。さらにゼレンスキー大統領が駆け付け、各国が新たな対露制裁を発表し、ウクライナへの『必要とされる限りの支援』で、強い結束を示すことができた。台湾侵攻や、沖縄県・尖閣諸島強奪を公言し、暴走する中国にも、明確な警告を発することができた」と語った。

だが、この結果に、ロシアと中国が激怒している。

ロシア外務省は21日、「(G7は)世界の安定を揺るがす破壊的な決定のふ卵器だ」「反露、反中のヒステリー」「(G7の対露制裁が)世界の食料、エネルギー危機の原因になった」などと反発する声明を出した。

中国の孫衛東外務次官も同日、日本の垂秀夫駐中国大使を呼び出し、G7サミットで、中国や台湾の問題が取り上げられたことについて、中国への粗暴な内政干渉だとして「強烈な不満と断固たる反対」を表明、「厳正な申し入れ」をして抗議した。中国外務省が明らかにした。

これに対し、垂大使は、G7が中国の諸課題に立場を表明したのには理由があると指摘し、「まずは中国側が前向きな対応を行うべきだ」などと反論した。

外事警察関係者は「ジョー・バイデン米大統領は19日の首脳会議で、欧州の同盟国による米国製F16戦闘機の対ウクライナ供与を容認する方針に転換したことを伝達した。ロシアは半狂乱だ。敗戦濃厚の現状に、トドメを刺すかたちになるからだ。『ウラジーミル・プーチン大統領が核攻撃を口にした』という情報がある。中国はG7前から、議長国の日本を標的にしていた。あらゆるルートで『中日関係が今後どうなるかは、日本次第だ。態度を改めろ』などと恫喝していた」といった。

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広島G7サミットの成功を受け、「岸田首相が、今国会会期末(6月21日)解散に踏み切る」「昨年7月8日に凶弾に倒れた安倍晋三元首相の『弔い合戦』名目にもなる」との見方が急浮上している。

だが、その前にやるべきことがある。

欧米各国は「中国の非公式警察署」や「大学などに設置された孔子学院」を「中国の工作・宣伝機関」として摘発に動いている。岸田政権はいつまで見て見ぬふりをしているのか。日本をスパイの巣窟にするつもりか。このままでは、サミットの成果は台無しだ。

■加賀孝英(かが・こうえい) ジャーナリスト

https://www.zakzak.co.jp/article/20230523-I6SFNWDXBNJAZBB7UKFIOUQ4NI/