国立研究開発法人「産業技術総合研究所」で勤務する中国籍の男が中国企業に研究データを漏洩(ろうえい)させた事件では、背後に中国人民解放軍と関係が深い「国防7校」の存在が浮かぶ。「軍民融合戦略」を掲げる習近平政権の手足となる各校から、日本の大学が人材を受け入れるなどの事例も確認された。大学側に現状の対応を尋ねた。

警視庁公安部に逮捕された権恒道容疑者(59)が教授に就任した北京理工大は、中国国家国防科技工業局の監督下にある国防7校の1つだ。ほかに北京航空航天大、ハルビン工業大、ハルビン工程大、南京航空航天大、南京理工大、西北工業大がある。

元警視庁公安部外事課で、日本カウンターインテリジェンス協会代表理事の稲村悠氏は「北京航空航天大の場合は高い水準のミサイル研究で知られる。国防7校は中国の軍事企業などの依頼を受けて研究技術を提供しており、企業を介して人民解放軍に関与していると推察できる」と話す。

7校の多くは、大量破壊兵器の開発などに関与している懸念が払拭されないとして、経済産業省は技術輸出に許可が必要な「外国ユーザーリスト」に掲載している。

政府は今月2日、2020年実績で、国防7校のうち6校から、東北大や東京工業大、千葉大、名古屋大、新潟大など国公私立大10校に計39人が留学していたとする答弁書を閣議決定した。

稲村氏は「軍事転用可能な高度な衛星技術を研究する大学も散見される。人民解放軍側から留学生に接触を図るケースのほか、金銭やポストなどの見返りや中国共産党への貢献を目的に留学する学生もいるなど混然一体としている点が中国の脅威だ。学生には国籍を問わず先端技術に関するデータや資料の閲覧制限や、過度なアクセスなどを監視する一律の指針を策定すべきだ」と話す。

東京工業大広報課は夕刊フジの取材に、23年現在、7校からの留学生はいないとし、「すでに留学生の全件について、出身大学、研究分野や指導内容等から総合的に判断して受け入れを決定しています」と回答した。

福岡工業大では23年現在、南京理工大から2人の受け入れ実績があるという。「国の安全保障輸出管理等に従って従前も対策を行っており、留学生の受け入れについては今後検討していく予定」(広報課)と回答した。

日本学術会議でもかつての会員らの中に国防7校に勤務経験のある人もいる。

前出の稲村氏は「国の機関である学術会議も自国の防衛研究には否定的なのに国防7校に協力的な一面もあり、矛盾を抱えている。研究者の往来を止めるのは難しいが、民営化など組織を見直すことも一手ではないか」と語った。

夕刊フジ 2023.6/18 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20230618-PTLJS2RCEZJBVHJTGUFSM2YMVM/

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