韓国でリンゴ、梨などの重要病害である火傷病が広がっている。国の調査によると、6月15日現在、全国で120農家の48・4ヘクタールで確認された。政府は警戒レベルを引き上げ、感染拡大の防止に取り組むが、歯止めがかかっていない。日本では発生していないため、農水省は宿主植物の枝や果実などを海外から持ち込まないよう注意を呼びかける。

感染した実(韓国農林畜産検疫本部提供)

 火傷病はバラ科のナシ亜科植物に広く感染する細菌病。花、葉、新梢(しんしょう)など樹体全体に症状が出て根絶が難しい。

 韓国では2015年5月、京畿道安城市のリンゴ農園で同国初の火傷病が確認された。以来、忠清北道や全羅北道などに感染が拡大。今年5月19日には果樹産地の江原道原州市でも確認された。この事態を受け、農水省に当たる農林畜産食品部は、危機管理段階を「注意」から「警戒」に引き上げた。

 しかし、まん延には歯止めがかかっていない。6月には、新たに慶尚北道安東市や江原道旌善郡でも新規感染が確認された。

 火傷病は日本では発生していない。韓国の火傷病の発生を受け、15年6月からリンゴや梨などの輸入を禁止するなどの水際対策を強化してきた。新型コロナ禍の落ち着きに加え、日韓友好ムードの高まりで、人の往来が盛んになっている最中だけに、農水省は「火傷病の発生国を訪れる際、果実や枝、花などを絶対持ち込まないよう注意が必要だ」(植物防疫課)と呼びかける。(金哲洙)

日本農業新聞6/20(火) 10:40配信
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