米共和党などが、ジョー・バイデン政権(民主党)の対中姿勢を猛批判している。
中国軍が、台湾海峡や南シナ海で、米軍の艦船や軍用機に〝異常接近〟したり、米フロリダ州に近いキューバでの軍事施設建設交渉が報じられるなど、
中国の増長・暴走が明らかなのに、決然とした外交姿勢が見られないのだ。
アントニー・ブリンケン国務長官の訪中(18~19日)では「弱腰」を見透かされたのか、習近平国家主席との会談で下座に座らされる屈辱を味わわされた。
わが国の同盟国は大丈夫なのか。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が、バイデン政権の「大甘」ぶりを報告する。

ブリンケン国務長官が訪中し、習総書記(国家主席)や、中国外交トップの王毅政治局員、秦剛国務委員兼外相らと会談した。

ブリンケン氏は、台湾や南・東シナ海での中国による現状変更の試みには反対したが、一方で「利害が一致する共通の問題では協力を模索する」考えも示した。

はっきり言って、これでは中途半端で生ぬるい。バイデン政権は「関与政策の失敗」から教訓を学んでいないようだ。

そんな姿勢は、中国との「デカップリング(分断)」を否定し、「デリスキング(リスク回避)」を目指す方針に示されている。

ブリンケン氏は会見で、「両者には大きな違いがある。デカップリングで中国との貿易や投資をすべて停止するのは悲惨だ。
われわれはリスク回避と分散に賛成する」と述べた。

デリスキングという言葉は、欧州連合(EU)のウルズラ・フォンデアライエン委員長が、3月の講演で初めて使った。
すると、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)や、ジャネット・イエレン財務長官らが飛びつき、彼らも講演で使い始めた。

ブリンケン氏の発言は、「デリスキング」がバイデン政権の正式な対中政策になった事実を示している。フォンデアライエン氏は「してやったり」という気分だろう。

問題の本質は、そもそも言い出したのがEUだった点に示されている。

中国に侵略される恐れがまったくない欧州は、できれば「中国との互恵的な経済関係を維持したい」と考えている。
米国が対中経済関係を完全に断ち切ってしまったら、欧州にも悪影響が及ぶ、とみて
「せめて、切り離すのは安全保障上のリスクがある分野だけに限ってほしい」と米国に働きかけたのだ。

サリバン補佐官は4月の講演で、半導体など安全保障に直結する分野については「高い塀で囲った狭い庭」に閉じ込める、と語っていた。
つまり「それ以外の分野なら、従来同様に貿易も投資も可能だ」と言ったも同然だ。

これには、米国内でも「半導体は汎用(はんよう)性がある。
果たして安全保障上のリスクがある製品と、それ以外で明確な線を引くのは可能なのか」という疑問が出ていた。

「上座」応対に表れた見下すような習氏

センシティブな半導体だけを「小さな庭」に閉じ込めたはずだったのに、いつの間にか外にはみ出して、中国に流出していた事態になりかねない。
逆に、何でもかんでも閉じ込めてしまえば、デカップリングとどこが違うのか、という話にもなる。

共和党の有力議員からは、早くもブリンケン訪中に批判が出ている。
例えば、対中強硬派のエリーゼ・ステファニック下院議員は「バイデン政権の弱腰姿勢は、中国共産党を大胆にさせただけだ」と非難した。
マイケル・マコール下院議員は、期限付きでブリンケン氏に対中制裁行動リストの提出を求めている。

中国の尊大さは、習氏がブリンケン氏を見下すように上座に座って応対した姿勢にも表れた。
バイデン政権の甘さが、習氏をつけ上がらせる結果にならないか、心配だ。
長谷川幸洋

夕刊フジ 2023.6/26 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20230626-2TUHWVWKHRKXNA6TLLBUI2TDDI/

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