原発処理水の海洋放出方針をめぐり、中国税関当局が日本から輸入した水産物に対する放射線の検査を全面的に始め、
日本からの鮮魚などの輸出が実質的に停止している。日本として対抗措置はあるのか。

松野博一官房長官は「政府としては引き続きIAEA(国際原子力機関)の包括報告書の結論を踏まえ、
高い透明性を持って国際社会に丁寧に説明していく考えだ。
日本産食品の安全性は科学的に証明されており、輸入規制を早期に撤廃するよう
今後もあらゆる機会を通じて中国側に強く働きかけていく」と述べている。

そもそも中国との取引にはこうした政治リスクが伴うので、日本の経済界は対中戦略を考え直す時期だ。
中国でのビジネスをあてにしてきた企業には実に酷な話だが、専制国家、
一党独裁国との経済取引とはこういうこともあり得るのだとの教訓である。
来る台湾有事に備えるべく、今のうちに準備をしていると思ったほうがいいのかもしれない。

いずれにせよ、中国は端から聞く耳を持たないので、いくら日本が丁寧な説明をしても無駄だろう。
今の政府の対応では、せいぜい国際社会に「誠実な日本」と「不誠実な中国」という対比を見せつけるくらいしかできない。

さらに、近年、中国の大型漁船が日本近海の公海上で大量にサンマを漁獲している点を国際社会に広く知らしめて、
「中国船のサンマは安全だが、日本船の水産物は危険」というご都合主義を突くのもいいだろう。

中国は人民の健康や海洋環境とか理由をつけて、税関における放射線の検査を厳しくしているが、
そもそも日本はまだ処理水の海洋放出を実施していない。
この検査に文句を言っても、中国にとってのれんに腕押しだろうから、せめて日本政府は検査結果の公表を中国側に求めるべきだ。
さらに、検査結果の公表は継続的に求めるべきだ。
また、可能な限り日本政府が事前に中国向け輸出品の検査を行ってから輸出するのがいい。

それでも、水産業者への打撃はあるので、その緩和策も必要だ。
日本の中国向け水産物輸出については、昨年の輸出額は871億円。品目別では、ホタテ貝467億円、
ナマコ79億円、カツオ・マグロ類40億円などとなっている。

もっとも、中国向け輸出ができないということであれば、他国か国内の市場に回さざるを得ない。
ホタテの輸出では、米国や台湾などの中国以外の新たな販路もありえるが、それができなければ国内だろう。

例えば、訪日観光客向けに日本の水産物を食べてもらうのはどうだろうか。
コロナ対策で行われた「Go To Eatキャンペーン」のちょっとした応用施策であるが、
食事クーポンに助成金を加えれば割引価格で日本の水産物を食べてもらえる。
対象となる訪日観光客が中国人であれば、なんとも皮肉な話にもなる。
また、訪日観光客に対象を限定しなくてもいいだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

夕刊フジ 2023.7/27 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20230727-Y4ZSDTKZ35ORRBKK55JV2PKBAQ/

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