中国経済は減速に向かっていると、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンは考えている。
クルーグマンは、中国と90年代に経済が衰退した日本との類似点を指摘する。
人口動態に強い逆風が吹いていることから、中国の将来はさらに悪化する可能性が高い。

中国経済は大きな減速に向かっていると、ノーベル賞受賞経済学者のポール・クルーグマン(Paul Krugman)は考えている。

彼は、2023年に入ってからの期待外れな中国の経済パフォーマンスを、日本の経済力が衰退し始めた90年代の経済的苦境と比較した。

クルーグマンは2023年7月25日に公開されたニューヨーク・タイムズへの寄稿文にこう記している。

「中国は最近失速しているように見えることから、将来的に日本のような道を歩むのではないかと言う人もいる。それに対する私の答えは『おそらくそうはならない。中国はもっと悪くなるだろう』だ」

日本経済が低迷したのは、現在中国が直面しているのと同じような人口問題によるところが大きいとクルーグマンは言う。

少子化と移民の少なさによって、日本の労働人口は2000年代に入って急速に減少した。それが日本経済への投資の低迷を招き、債務残高の増加に拍車をかけた。

中国の労働人口もまた、高齢化が進み、若年労働者が雇用確保に苦しむ中で減少している。中国政府のデータによると、前四半期の若年層の失業率は21%と過去最悪を記録した。

それに加え、中国はアンバランスな経済にも苦しんでおり、パンデミック後も需要がなかなか回復していないとクルーグマンは言う。製造業は5月に縮小し、中国経済の約5分の1を占める不動産も停滞している。

こうした要因から、専門家たちは中国の将来について警鐘を鳴らしている。とりわけ「中所得国の罠」に陥る可能性があるとクルーグマンは指摘する。これは新興国に見られる現象で、ある時点まで経済が急成長し、その後、停滞するというものだ。

「中国が景気減速に向かうとすれば、興味深いのは、日本の『社会的結束力』、すなわち大衆の苦しみや社会的不安定を伴わずに低成長を管理する能力を中国が再現できるかどうかだ。私は中国の専門家ではない(のでよく分からないが)、中国がこのように不安定な権威主義政権のもとで、これをやり遂げることができるという兆候はあるのだろうか」

他の専門家たちは、中国経済の回復がいまだ期待外れであることから、中国経済が危機に瀕していると警告している。あるシンクタンクによると、需要が低迷を続ける中、中国の再開に向けての取り組みは「失敗する運命にある」とし、また別の専門家は再開の試みを「見せかけ」と評している。

https://www.businessinsider.jp/post-273238

関連ニュース
中国が「日本式衰退」に陥らない理由―中国メディア
https://www.recordchina.co.jp/b918145-s25-c20-d0193.html