【北京時事】

イタリアが中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を検討していることに、習近平政権がいら立ちを募らせている。

中国外務省は4日に発表した報道官談話で、同構想の意義を強調。米国がイタリアに離脱するよう圧力をかけていると見なし、「一部の勢力が悪意をもって騒ぎ立て、中伊協力を政治問題化し、分断を生んでいる」と批判した。

イタリアはコンテ政権時代の2019年、先進7カ国(G7)で初めて中国と一帯一路に協力する覚書を交わし、国際社会を驚かせた。しかし、22年に就任したメローニ首相率いる右派連立政権は、経済的恩恵が乏しいことなどを理由に離脱を模索。今秋にも正式表明する見通しだ。
 
習国家主席肝煎りの一帯一路は、今年で提唱から10年の節目を迎える。報道によると、10月にはロシアのプーチン大統領ら構想参加各国の首脳を中国に招き、大規模なフォーラムを開催する予定。このタイミングでイタリアが離脱を表明すれば、習氏はメンツをつぶされる格好となる。

中国は引き留めに奔走しており、6月には共産党の劉建超・中央対外連絡部長がイタリアを訪問。タヤーニ外相や経済界代表らの説得に回ったが、目立った成果は得られなかったもようだ。
 
離脱が避けられないとしても、中国は米国への対抗上、欧州諸国との亀裂を深めたくないのが本音。中国外務省や官製メディアによるイタリア批判は、現時点で抑制気味だ。
 
共産党機関紙系の環球時報(英語版)は「(離脱検討は)米国による圧力が原因で、イタリアは逆らえない」という論調の記事をたびたび掲載。米国に責任転嫁し、イタリアにとっても「苦渋の決断」だと印象付けることで、中国の体面を保つ狙いとみられる。


2023年08月05日07時13分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023080400872&g=int