ー前略ー
「スカウト運動」とは、野外でのテント合宿などを通じて、少年・少女の肉体的・精神的スキル向上を目的とする教育だという。
世界各国のボーイスカウト、ガールスカウトが4年に1度、一堂に会するイベントが「ジャンボリー」で、今月1日から韓国で開催された。

ところが、宿営地は水はけの悪い干拓地。そこへ猛暑で蒸気サウナのような状態になり、初日から熱中症患者が続出した。
それだけではなく、「トイレが汚なすぎて使えない」「シャワー室が外から丸見え」「提供されたゆで卵を割ったらカビが生えていた」
「キャンプの敷地内に出店したコンビニがボッタクリ」…。

まさに、「ディス・イズ・コリア」のオンパレードだ。

熱中症、ひどい衛生環境、危ない食事を見て、英国と米国は早々に「韓国キャンプからの撤収」を決めて実行した。
約4万3000人の参加者のうち約6000人の離脱だ。

ボーイスカウト世界機構も「ジャンボリー中止」を勧告した。

しかし、航空券を入手できるのか、できなければホテルに滞在するしかない。
ホテル代は誰が…ということで、ほとんどの参加国は「残留」と決めざるを得なかった。

非常事態発生に、韓国政府は慌てた。韓悳洙(ハン・ドクス)首相が現地を訪れ、
「これからは、政府が安全に責任を持つ」と表明した。これまで政府は関わっていなかった≠ニいう認識の表明でもある。

宿営地は全羅北道のセマングム。「欠陥だらけの干拓地」として夕刊フジの連載でも取り上げたことがある
(2021年12月8日発行)。

なぜ、樹木1本ない干拓地が選ばれたのか。当時の大統領、文在寅氏の思い入れが影響したのではあるまいか。
開催決定は文政権時代の17年8月。
以来、宿営地と周辺の整備、野外活動のプログラムなどは、すべて全羅北道の地方左翼政権≠ェ担ってきた。

中央日報(8月7日)によると、ジャンボリー関連で99人の公務員が遊興性≠フ海外出張を楽しんだ。
うち55人が全羅北道庁、37人が全羅北道内の郡庁や関連機関だった。
その一方、宿営地の整備は予算をけちり、水洗トイレも設置されなかった。

中央政府からは、3人の閣僚が組織委共同委員長として名を連ねているが、尹錫悦政権としては、
「名義貸ししただけ。取り仕切っているのは全羅北道の知事一派」といった感覚だったのだろう。

が、世界の大手マスコミが「悲惨な韓国ジャンボリー」「国際的な恥」などと報道すると、尹政権も黙っていられなくなった。

最初に打ち出したのが、「トイレ清掃員を700人投入」「食品メーカーの支援を引き出して食料を供給する」。

そして、「参加者を冷房の利いたバスに乗せ、韓国の名所めぐりをする」。
これにはボーイスカウト世界機構が「ジャンボリーの趣旨に反する」と異議を唱えた。
では、干拓地に留めて熱中症患者を増大させるのか。

ここに救いの神風が吹いた。「台風6号が進路を変えて朝鮮半島を直撃」との予報だ。
雨台風で干拓地は水浸しになる。

世界機構は宿営地からの退避を命令し、参加者はソウルなどに避難することになった。
しかし、約3万6000人を収容できる施設はない。体育館などで雑魚寝となるだろう。

13万円の参加費を払った少年・少女は、最初から最後まで「ディス・イズ・コリア」を十二分に体験できる。

夕刊フジ 2023.8/10 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20230810-76CWG2HHQNMUJA5UYGXKIF6JVQ/