「経済的威圧」というと、資源の輸出制限などを通じて他国に圧力をかける手法として知られます。
わが国も2010年、沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で中国人船長を逮捕した際、
中国がレアアースの禁輸措置を取り、影響が広範囲に及んだことを覚えている方も多いのではないでしょうか。

中国は最近、国内の購買力を背景に、輸入制限で他国に圧力をかける手法を多用しています。
一昨年2月には、台湾産パイナップルを輸入禁止しました。理由は害虫の検出でしたが、台湾の蔡英文政権への圧力と言われました。
台湾のパイン農家は大打撃を受けました。

当時、安倍晋三元首相をはじめ、日本のネット上で「台湾を支えよう」という声がわき上がり、
行き場を失った多くの台湾パインを受け入れました。あれから2年で、台湾パインの対日輸出量は8倍超に増えました。
中国の嫌がらせのような措置は、逆に販路拡大に貢献したのです。

それに懲りず、中国は21日、今度は台湾産マンゴーの輸入を停止したと表明しました。
理由はやはり害虫検出ですが、マンゴーの主要生産地である台湾南部は与党・民進党の基盤だそうです。
台湾メディアは、来年の総統選の有力候補である頼清徳副総統が今月中旬に南米訪問した際、
米国に立ち寄ったことへの対抗措置の一環とみられると報じています。

さらに、中国は福島第1原発の処理水海洋放出に反発して、日本産水産物の全面禁輸に踏み切りました。
第1原発の計画は、ALPS(多核種除去装置)で処理したトリチウム水を、海水で基準値以下に薄めて放出するもので、
IAEA(国際原子力機関)も「国際的な安全基準に合致する」という報告書を出しています。

IAEA調査団には、中国の科学者も参加していたにもかかわらず、中国は「核汚染水」と言い募って批判し続けてきました。
もはや全面禁輸しなければメンツが保てなかったのでしょう。

これらの経済的威圧に対しては、1対1ではなく多国間で連携して対抗していくことが広島G7(先進7カ国)サミットでも確認されました。
「経済的強靱(きょうじん)性及び経済安全保障に関するG7首脳声明」でも、
「経済的威圧に対する共同の評価、準備、抑止及び対応を強化するため、「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」を立ち上げ、
連携を強化していくとともに、G7以外のパートナーとの協力をさらに促進していく」と記しました。

・一人年間1000円分
台湾パインは、まさにこの多国間連携で経済的威圧をはねのけた成功例です。これを台湾産マンゴーや日本の水産物に応用すればいいのです。
日本の水産物輸出は昨年、中国が871億円、香港が755億円です。
中国以外への販路拡大と合わせ、国民一人当たり年間1000円少々の負担で十分支えられます。

日本の魚も、台湾のパインもマンゴーも、食べて支えましょう!
■飯田浩司

夕刊フジ 2023.8/30 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20230830-MCVUPH5L3BO4ZNGMJRDY3ZMUJ4/

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