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日本に滞在する外国人に交付される在留カードを偽造したとして、ベトナム国籍の容疑者2人が先日、群馬県警に逮捕された。
端緒は、同県太田市のアパートのゴミ捨て場に不法投棄されたゴミ箱の中から、偽造の在留カードが見つかったことだという。
2人は、少なくとも数千枚の在留カードを偽造し、1枚あたり3000円から6000円ほどで販売していたとみられている。

在留カードの偽造事件については筆者もこれまで何度も取材してきたが、最近の在留カードの最大の購入者は、おそらくベトナム人である。
しかし、偽造や販売を担っているのは決まって中国人であり、報道ベースではベトナム人が偽造に加担して逮捕されたという例は見当たらない。

「在日外国人犯罪の最大の担い手は、中国人からベトナム人に代わった」と言われるようになって久しい。
そしてこの事件もその一例のようにも思える。しかし背後には、中国系犯罪組織の存在もあるだろうと筆者はみている。

在留カードの偽造に関しては長年、中国系犯罪組織の専売特許であった。そのため、本物に似せたホログラムシールやカード台紙は、
中国の工場で大量生産されており、精度も高く、コストも安い。さらに両者を圧着するのに使うラミネーターの性能も中国製が圧倒的だ。
つまり、ベトナム系組織が独自に在留カード偽造に乗り出すよりも、
「信頼と実績」の中国系組織にパーツとノウハウを提供してもらった方が、確実で安上がりと言える。

冒頭の事件で逮捕されたベトナム人2人は、ベトナム国内にいるとみられる人物から指示を受けていたと供述しているが、
少なくともパーツの調達には中国系グループが関わっているはずだ。

実は最近、「中主越従」…中国人が主犯格でベトナム人を実行役とするような犯罪が増えている。

その兆候を筆者が感じたのは2021年8月中旬以降、コンビニやドラッグストア約160カ所で
190枚の旧1万円紙幣の偽札が使用された一件だ。
その後、偽造通貨行使などでベトナム国籍の男女3人が逮捕され、関係先からはさらに約530枚の偽札も押収された。
これらの偽札は、ベトナムから輸入されていたことが判明したが、やはり中国系犯罪組織の影がチラつく。

彼らが使用した偽札はPSシリーズと呼ばれるもので、版下は2000年代前半に中国系の犯罪組織が制作したものと言われている。
その版下を使った偽札がなぜ、これほど大量にベトナムに存在したのか、それについては不明なままだ。

それから2年たった今、在日外国人犯罪における中国とベトナムの両者のつながりはさらに強固になってきている。 =つづく

1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。
ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちは
それぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。
中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。
その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。
境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。

おくくぼ・ゆうき
夕刊フジ 2023.9/16 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20230916-DE36EW52Y5MA5FIGIXJFO7ALLQ/