三菱自動車が、中国での自動車生産から撤退を検討していると報じられた。
中国市場で出遅れたことが原因というネガティブな響きのニュースだが、28日に同社の株価は大幅高となった。
市場の「中国離れ」が進んでいるのか。

電気自動車(EV)の地場ブランドが存在感を高める中国市場で、三菱自は現地合弁会社の広汽三菱汽車と、
湖南省にある工場でガソリン車を中心に生産を手がけてきた。
販売台数は2018年度の約14万1000台から、22年度に約3万1000台に落ち込み、
今年3月に生産を停止した。今後は東南アジアに経営資源を集中するとみられる。

報道が伝わった後の28日の株式市場で、三菱自の株価は一時、前日比約5%高の681円と約4年8カ月ぶりの高値を付けた。
翌29日には約2・7%下げたが、市場では中国撤退報道が「選択と集中を進め、収益向上につながる」
(準大手証券ストラテジスト)と評価されたかたちだ。

以前は中国向け取引が大きい銘柄が「中国関連株」として注目されたが、最近ではこれらの銘柄は総じて軟調だ。

米国でも大手ヘッジファンドのサイオン・アセット・マネジメントは今年4〜6月、米市場で中国のネット通販大手、
アリババグループの米預託証券を全て売却した。また、ロイターが世界の政府系ファンドの投資案件を分析したところ、
国別で中国の割合は前年の10・5%から6・1%に縮小したという。

中国ではゼロコロナ政策の影響で経済の不振が続き、中国恒大集団など不動産大手の経営が悪化している。
日本のバブル崩壊と重ねる向きもあるが、
「大恐慌型の経済困難があり得る。より深刻な将来が待っていることを念頭に置くべきだ」(独立系シンクタンク)との指摘もある。

前出のストラテジストは「改正反スパイ法など外国企業にとっては中国での活動のリスクも高まっている。
撤退するかどうか経営者の決断が問われるのではないか」との見方を示した。

2023.10/1 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20231001-YMKP67534NMRPF7EQCMN3ZXJ3A/