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ミャンマー北東部の中国との国境に近い国内避難民(IDP)キャンプが9日夜、攻撃され、子供を含む少なくとも29人が殺された。

この難民キャンプは、現在ミャンマーを実効支配している軍事政権と対立する武装組織「カチン独立機構(KIO)」の支配地域にある。
KIOは数十年にわたり、カチン族の独立を目指している。

KIOの広報担当はBBCに対し、犠牲者は全て民間人だと述べた。

今回の攻撃は、ミャンマー国軍とカチン州の武装勢力との63年にわたる争いの中でも、特に被害の大きいひとつ。

カチンの当局者は、軍事政権は昨年から攻撃を拡大していると説明。
軍事政権と戦う他の武装勢力に対して、カチンでの支持が高まっているからだという。

2021年2月の軍事クーデターで、アウンサンスーチー氏率いる文民政府が追放されて以来、ミャンマーの大部分は内戦に巻き込まれている。
ミャンマー国軍は権力を掌握して以来、反対派勢力が支配する町や村に対する空爆を加速させている。

亡命政府の「国民統一政府」(NUG)は、IDPキャンプへの攻撃は軍事政権によるものだと非難。
「戦争犯罪であり、人道に対する罪だ」と述べた。

一方、軍報道官のゾーミントゥン将軍は、国軍の関与を否定した。
ゾーミントゥン将軍は、軍はこの地域で活動していないとした上で、備蓄されていた爆発物が「恐らく」原因だろうと述べた。

地元メディアは、がれきの下から遺体が回収される様子や、遺体袋が並ぶ様子を報じている。

現場は、KIOの軍事組織「カチン独立軍(KIA)」がある山間部の町ライザから約3キロ離れたモンライケット地区
。KIO関係者によると、キャンプの一部は深夜ごろに大きな爆発で破壊されたという。

攻撃後の映像では、多くの住宅が壊滅状態にあり、多くの犠牲者も映っている。

カチンの当局者は、犠牲者には少なくとも子供が11人含まれる様子だと話した。
また56人が負傷し、うち44人が治療のために病院に運ばれた。

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攻撃されたキャンプ周辺の地図

国連のミャンマー支部は、キャンプでの死者の報告を「非常に懸念している」と述べた。

同支部はフェイスブックでの声明で、「IDPのキャンプは避難者と民間人の場所であり、どこであっても標的になってはならない」とした。

キャンプの周辺地域では数十年にわたり紛争が続いている。

しかし地元住民は、最近はキャンプ近くでは戦闘は行われていなかったと話す。

今回の攻撃が空から行われた可能性もある。

ミャンマー空軍はほぼ1年前、KIAが開いていたコンサート会場に精密誘導爆弾を投下し、80人以上を殺害した。

KIAは、ミャンマーで最大かつ最も強力な反政府勢力の一つ。
1960年から中央政府と、特に2011年の停戦破綻以降は恒常的に武力衝突を繰り返している。

軍事クーデター以降、軍事政権はKIAを大きな脅威と見なしている。
KIAがミャンマー全土で、軍事政権に反抗する新たな反政府武装勢力に武器を提供しているからだという。

KIAはまた、当初はカチン州で組織され、2016年以降は西部ラカイン州を拠点にしている「アラカン軍」と長年、同盟関係にある。
アラカン軍はラカイン州の大半において、国軍を押し返すことに成功している。

2023年10月10日
https://www.bbc.com/japanese/67063211