【ロンドン=黒瀬悦成】英首相府は13日、スナク首相がキャメロン元首相を外相に起用したと発表した。
クレバリー前外相が同日更迭されたブラバーマン前内相の後任の内相に指名されたのに伴う措置。
キャメロン氏は在任中、親中的な外交政策を推し進めたことで知られ、
外相としてどのような対中政策を打ち出すかが注目されている。

キャメロン氏は2005年に保守党党首となり、10〜16年に首相を務め、
英国の欧州連合(EU)離脱が決まった国民投票の結果を受けて辞任した。

支持率低迷に悩むスナク氏は、知名度の高いキャメロン氏の起用を軸とする内閣改造で
ブラバーマン氏の更迭劇による波紋を打ち消したい考えとみられる。

キャメロン氏は対中関係を重視し、中国主導のアジアインフラ投資銀行に先進7カ国(G7)として最初に参加を表明した。
15年に中国の習近平国家主席が英国を国賓訪問するに際しては両国関係が「黄金時代にある」と評していた。

首相を退任後は、中国のパートナーと10億ドル規模の投資ファンドの設立を計画したものの、
英中関係の悪化で出資者が集まらず断念した経緯がある。

最近も中国が巨大経済圏構想「一帯一路」の一環で進めるスリランカの最大都市コロンボの港湾開発計画に関与していた。

キャメロン氏が退任後の歴代保守党政権は対中政策を転換させ、中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」が
英国の第5世代(5G)移動通信システム市場に参入するのを阻止するなどした。

中国がキャメロン氏に接近を図るのは必至とみられ、同氏が香港での民主派抑圧や
中国の新疆ウイグル自治区での少数民族の弾圧にどう対応していくかも同氏の対中姿勢を占う指標となりそうだ。

キャメロン氏は13日、声明で「私の経験が多様な死活的懸案に対処するスナク首相の助けになれば」と述べ、
外相としての職務遂行への意欲を強調した。

2023/11/14 08:37
https://www.sankei.com/article/20231114-JNBMGS4PQJMJFANIZZNJ3CIXWM/