〈社説〉韓国慰安婦訴訟 日本が握る解決への鍵
2023/11/25 09:31 信濃毎日新聞

 韓国の高裁が日本政府に、元従軍慰安婦らへの賠償を命じた。

 日本政府は、国家は他国の裁判権に服さないとする「主権免除」を掲げ、裁判そのものを否定する立場を取っていた。

 免除は絶対的な原則でなく、高裁は認めなかった。深刻な人権侵害に遭った人たちの裁判を受ける権利が優越する―という国際司法の潮流を踏まえている。

 1965年の日韓請求権協定や2015年の慰安婦合意が賠償請求権を消滅させるか否かは、日本が公判に参加しなかったため、争点から除かれた。

 一審は「外交的衝突は不可避」として免除を認め、訴えを退けていた。正反対の判断も、日本の負う責務は変わらない。

 高裁は、日本が原告を慰安婦として無理に動員し、軍人との性行為を強要したと指摘。慣習である主権免除を認める範囲は狭められる方向にあるとし「韓国の国民に取られた不法行為に関しては適用されない」と結論付けた。

 植民地支配を正当化するような国際法は、支配された国の人々から見直しを訴える声が強まっている。国際社会に広がる人権重視を踏まえ、各国の司法は現代の法律に照らし、過去の条約や協定を解釈する流れにある。

 請求権協定の際、日本は植民地支配の違法性を認めず、賠償責任を負わなかった。韓国の司法はこれを果たすよう迫っている。

 岸田文雄政権は駐日韓国大使を外務省に呼び「判決は断じて受け入れられない」と抗議した。相も変わらず「請求権協定で解決済みだ」と繰り返している。

 慰安婦合意は当事者の意向を聞かずに成立した。「日韓両政府が協力し、元慰安婦の名誉と尊厳の回復、心の傷を癒やすための事業を行う」と記されたのに、当時の安倍晋三首相は、元慰安婦が求めた手紙での謝罪を拒んだ。

 元徴用工問題は、韓国政府傘下の財団が、日本企業の賠償金支払いを肩代わりすることで一応の決着を見た。内実は、米国の強い意向もあり、日韓が植民地支配の清算を棚上げし、安全保障面の利益を優先したに過ぎない。

 今回の判決を受け原告側は「日本に謝罪を促したい」と語っている。元の慰安婦も徴用工も、日本が植民地支配と戦争責任を認めることを通じた、自尊心の回復を望んでいるのだろう。

 韓国政府が対日関係の改善に積極的ないま、日本が歩みよらなければ真の解決を見ない。問われているのは人権に対する認識だ。

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2023112500104

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