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日本が主要なカネの出し手になっている国際金融市場が、
不動産バブル破裂に伴う金融崩壊に四苦八苦の習近平中国共産党総書記・国家主席を大いに助けている。

グラフは中国の対外負債、日本の対外金融債権、日銀と米連邦準備制度理事会(FRB)による資金発行について、
2014年を起点にどう増えてきたかを示す。
日本は世界最大の債権国であり、米国以外でドル基軸の国際金融市場を支える最大のスポンサーである。
円はいつ、どこでもドルに転換できる。

国際金融市場を仕切る米英の国際金融資本はグローバル化された金融市場から資金を借り入れて経済の膨張を図る中国を優遇してきた。
その中国では2015年夏の人民元切り下げを機に、激しい資本逃避に見舞われ、人民元の崩落危機に直面した。
当時のFRB議長だったジャネット・イエレン氏(現米財務長官)は米利上げを1年延期した。
そのうえで、黒田東彦日銀総裁(当時)が助け舟を出した。

本欄前回の繰り返しになるが、11月連載の日経新聞「私の履歴書」で黒田氏は
「私は16年1月、スイスでの世界経済フォーラム(ダボス会議)に登壇し(中略)『中国は資本規制を強化した方がよい』と発言した。
人民元安が再び日本を含むアジアにデフレ圧力を及ぼす懸念があった」
「新興国経済への先行き懸念もあり、世界的な株安や円高が進んでいた。スイスに出発する前、
私は追加金融緩和の選択肢を議論できるように、内々に準備を要請していた。
帰国後、1月29日の金融政策決定会合で、日銀はマイナス金利政策の導入を決めた」と明かしている。

2013年3月に日銀総裁に就任した黒田氏は異次元金融緩和政策に踏み出したが、安倍晋三首相(当時)の
背中を押して消費税の大型増税を実行させた結果、デフレ圧力を招き入れ、マイナス金利政策に追い込まれた。
「履歴書」ではその際、中国発金融危機もその動機になったことを示唆したわけである。

デフレ下では中央銀行が極端にまで金利を下げても、カネは実体経済に回らずもっぱら金融市場に流れ出す
「流動性の罠(わな)」に陥るというのが経済学上の定理だが、日銀マネーは国際金融市場を経由して中国経済の膨張を助長した。
このことはグラフを見ても明らかだ。マイナス金利付きの日銀資金の多くが海外にも流れ出し、
中国への資金流入(対外負債)を後押しする。

FRBのドル資金発行は縮小していたが、消費税増税に伴うデフレが背景のマイナス金利の日本マネーが
国際金融市場を潤すと同時に、中国経済を救ったことになる。

今、バブル崩壊の中国は再び資本逃避に苦しんでいる。
高利回りの信託など理財商品の焦げ付きに遭遇した中国の富裕層や投資家は資産を国外に持ち出そうと躍起になっている。
嫌気を差した外資は脱中国へと走る。

が、グラフを見ればわかるように、中国は対外負債を増やしている。日銀のマイナス金利資金がそれを可能にする。
習政権を追いつめるつもりなら、日本は米国を誘って中国向けの金融を規制すべきなのだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

2023.12/8 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20231208-IDIU3OG5VNIMVE5GYFABFAFYUY/

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http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/news4plus/1701468756/