【香港=藤本欣也】香港区議会(地方議会、計470議席)選が10日、行われた。システムトラブルで投票時間が延長され、
開票作業は11日未明に始まった。今年7月の選挙制度の見直しによって民主派は一人も立候補が認められておらず、
親中派が議席を独占することはすでに決まっている。

焦点だった直接投票枠の投票率は発表が遅れている。投票終了3時間前の10日午後7時半時点の投票率は
24・5%と低迷していた。それ以降、発表されていない。

中国返還以降の区議会選で最低の投票率は1999年の35・8%。反政府デモが本格化するなど、
市民の政治意識が高まっていた2019年11月の前回区議会選では過去最高の71%を記録しており、
今回は半分以下に落ち込むとみられている。
香港国家安全維持法(国安法)の施行翌年の21年に実施された立法会(議会)選の投票率30・2%をも下回るか
関心を集めている。

香港政府は投票率アップのため、投票日前日の9日、大型コンサートや花火大会を開催するなど、
市民が週末を利用して香港域外に出ないようにした。
政府ナンバー2の陳国基政務官も投票日の10日、「区議会選は非常に重要だ。投票は2分で終わる」などと述べ、
投票を呼び掛けていた。

しかし同日、各地の投票所を訪れてみると、出入り口付近で警官らが警戒に当たる中、投票に来た市民たちは高齢者が多く、
若者の姿はほとんど見かけなかった。

今年7月に選挙制度が変更された結果、9割以上あった直接投票枠は2割以下の計88議席に削減された。
さらに直接投票枠で立候補するには、親中派で構成される地区委員会などの委員の推薦が必要となり、
今回、民主党など民主派政党は一人も立候補できなかった。

報道によると、10日、香港島のセントラル(中環)で民主派組織、社民連のメンバー3人が逮捕された。
3人は選挙制度の見直しで直接投票枠が大幅に削減された結果、「市民の投票の権利や表現の自由が侵害された」と
当局に抗議するデモを行う予定だったという。また、投票のボイコットを呼びかけたなどとして市民3人も逮捕された。

2023/12/11 08:30
https://www.sankei.com/article/20231211-65TBRV6MPZKBFOUHRANKSUJDXI/