新戦力補強を巡り、韓国球界から嘆きの声が上がっている。

 12月17日、韓国メディア『スポーツ春秋』は「“薬物懲戒”の前科があっても候補に。外国人選手の移籍市場の状況は困難」と銘打った記事を掲載。「この冬、KBO(韓国プロ野球)リーグの各球団は“史上最高レベル”で、外国人選手の獲得で困難を強いられている」と国際的な獲得競争下における国内球団の苦戦を指摘した。

 今オフの韓国球界は大物助っ人の流出を食い止められなかった。23年シーズンにNCダイノスで20勝を挙げたエリック・フェッディがホワイトソックスとのメジャー契約を締結。もともと残留の可能性が小さかったとはいえ、「投手3冠」をやってのけた30歳の退団には、同国球界で失望の声が広まった。

 近年のKBOは、フェッディのように国内でブレイクを果たした助っ人選手たちの国外移籍が続いている一方で、新たに有力な助っ人選手を見いだせていないのが現状だ。『スポーツ春秋』の取材に応えた匿名の球団スカウトは、「余裕はない。どこも外国人のスカウトには苦労をしている」と吐露。「韓国を保険として考える選手が多くて、オファーをしてもなかなか返事をくれない」と明かしている。

 また、別の球団関係者からは「韓国のオファーを一旦保留され、日本の球団との交渉を進めてみるという展開が続いている。もしも、日本側との交渉がうまくいかなかったら、韓国で100万ドル(約1億4500万円)の契約をもらえると思っている」と指摘。こうした国内球団が目の当たりにする厳しい現状を受け、『スポーツ春秋』は次のように論じている。

「フェッディのメジャーリーグでの逆輸入やイ・ジョンフのポスティング移籍で韓国の地位は上がったが、外国人選手たちの中では、韓国野球を下に見る傾向は続いている。基本的に彼らは外部の客観的な評価より自分自身を過大評価する場合が多い。もちろん、入団オファーを丁寧に断る場合もあるが、不快な反応を示す選手も少なくない」

 そんなKBOは、各球団戦力の均衡を保つために、サラリーキャップ制度が設けられている。新外国人選手獲得には最高100万ドル(約1億4900万円)の上限があり、日米両球界との競争となると、先述の関係者たちが不満をもらすように後塵を拝するしかないのだ。

 無論、国内にはサラリーキャップ制度そのものの廃止や、新外国人選手獲得の上限を増やすなど様々な提案はされている。がしかし、現時点で改革に向けた具体的な動きは「見られていない」(『スポーツ春秋』より)という。

 キム・ハソンやイ・ジョンフといった選手が続々とメジャー移籍を果たし、国際舞台での存在感を増している韓国。そうした状況で助っ人をはじめとする有力選手流出による国内リーグの競争力低下は避けたいはずだが、問題の改善は行われるのだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

https://news.yahoo.co.jp/articles/5b020659624c5fbef8418a9b83bf48f4ae8c737f